自民総裁選とアメリカ大統領選の「株価ジンクス」 過去のデータを調べてわかった株価の傾向

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そして、11月から年末の株価は好調な推移が期待されます。実は、ハリス氏が属する民主党が勝利した場合と、トランプ氏の共和党のいずれが勝利した方が11月から年末までの株価がより好調になるのかも深掘りして調べましたが、民主党勝利の場合には日経平均株価の平均騰落率は6.4%、共和党勝利は5.7%と民主党がやや上回ったものの、いずれも高い上昇率でした。このような過去のジンクスからもいずれの党が勝利しても11月以降は株高は期待されます。

効果的な銘柄選びにつながるのは?

ただ、注意すべきポイントもあります。どのような銘柄に投資したらよいのかという“物色”についてです。

下図はトランプ氏の支持率とハリス氏の支持率と物色の関係を表すものです。赤線はトランプ氏の支持率からハリス氏(7月31日より前はバイデン氏)の支持率を引いた推移です。つまりグラフが上がるとトランプ氏の支持率が高くなるということです。この赤線と青線が連動して動く傾向があります。

 

青線はバリュー株(割安株)とグロース株(成長株)の動きを比較したもので、青線が上がると比較して割安株が買われ、下がる場面は成長株が買われる傾向があるというものです。

トランプ氏の政策は、これまでバイデン政権で進められてきた環境対策を巻き戻すものです。石油と天然ガスの生産増強の規制や、自動車産業に対する規制の緩和などを目指しています。鉱業や石油石炭などの資源関連や、自動車などオールドエコノミーと呼ばれる産業の恩恵が大きいことから、赤線が上昇してトランプ氏の支持率が上がる場面は、IT関連などの成長株に比べてオールドエコノミーのバリュー株が注目されて上昇します。

図の青線は日本でのバリュー株とグロース株の比較をグラフ化したものですが、アメリカで注目される物色の流れが日本株にも同様に伝播してきたと見られます。

アメリカ大統領選後の株高を期待した銘柄選びの際には、大統領選の結果で、ハリス氏の勝利ならIT関連などのグロース株、トランプ氏だった自動車などのバリュー株、などの選別が効果的な銘柄選びにつながるでしょう。

吉野 貴晶 ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長

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よしの たかあき / Takaaki Yoshino

金融情報誌「日経ヴェリタス」アナリストランキングのクオンツ部門で、記録的となる16年連続で1位を獲得した後、ニッセイアセットマネジメントに入社。大学共同利用機関法人 統計数理研究所のリスク解析戦略研究センターで客員教授を兼任。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科(MBAコース)で経営戦略、企業評価とポートフォリオマネジメントの授業の教鞭も取る。代表的な著書に『No.1アナリストがプロに教えている株の講義』(東洋経済新報社、2017年) 。

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