ボルボ、2030年までに「完全EV化」の目標を断念 EV市場の成長鈍化やEUの追加関税が逆風に

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吉利控股集団の傘下にあるボルボにとってとりわけ影響が大きいのが、欧州委員会が打ち出した中国製EVに対する高率の追加関税だ。EU(欧州連合)ではすでに2024年7月から暫定適用が開始され、10月末までに期間5年の正式適用に移行する見通しとなっている。

中国製EVに対するEUの追加関税は、ボルボの経営戦略に軌道修正を迫った。写真は「EX30」の生産が中国から移されるベルギーの工場(同社ウェブサイトより)

ボルボのEVで最も売れている車種は、2023年に発売した小型SUVの「EX30」だ。ボルボはEX30を中国の工場で組み立て、EUを含む世界各国に輸出していた。しかしEUの追加関税を受け、生産地をEU域内の工場に変更することを決めた。

(訳注:EX30の生産は中国・河北省の吉利グループの工場で行われていたが、2025年からベルギーのボルボの工場に移る)

ベンツやGMも目標修正

ボルボだけではない。世界の自動車業界では、2024年に入ってEVシフトの目標修正が相次いでいる。

ドイツのメルセデス・ベンツは、(EUや北アメリカなどの)主力市場における完全EV化の計画を中止し、販売台数に占めるEVとPHVの比率を50%に高める目標の期限を2030年まで先延ばしすると2月に発表した。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

7月には、アメリカのゼネラル・モーターズ(GM)のメアリー・バーラCEOが、「EV市場の成長は鈍化しており、2025年までに北アメリカ市場でEVを100万台販売する目標の達成は困難だ」とメディアのインタビューで発言。EV戦略の軌道修正を示唆した。

同じくアメリカのフォードは8月、次世代のEVピックアップトラックの生産計画を延期するとともに、SUVタイプの新型EVの開発を取りやめ、ハイブリッド車に変更すると発表した。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は9月5日

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