「お世話になります。これまで5年ほど食品メーカーに勤務しておりました。新たな挑戦と思って精いっぱい頑張りますのでよろしくお願いします」。Sさんは少々力が入りすぎたかも……とも感じる自己紹介をしました。
ところが職場の反応は「じゃ、よろしく」とややガックリするほどあっさりしたもの。あいさつが終わると同僚たちはすぐに仕事に戻りました。ちなみに職場には同僚は6名。上司が1名。
この半径にして約5メートルにおける人間関係こそ将来を大きく左右することにSさんはまだ気づいていないようでした。
半径5メートルを“身内”と心得よ
さて、話を戻します。会社の規模にかかわらず、仕事上でかかわる密度は同じ部署の半径5メートルが圧倒的に濃いもの。たとえば、従業員数2000人以上の信販会社で、管理職向けの研修をしたときの話。5人単位でグループを組んで作業をする前に自己紹介をお願いしたところ、
「福岡支店の佐藤と申します。よろしくお願いします」
と名刺交換が始まりました。
大企業で職場が離れていればお互いの面識がないことは不思議ではありません。わざわざ名刺交換するくらいに距離があるのでしょう。まるで社外の人と交流するくらいの距離感があるといえるのかもしれません。
つまり、会社の規模にかかわらず身近な半径5メートルの関係者こそ身内。それ以外は同じ会社でも遠い親戚くらいの感覚なのかもしれません。この半径5メートルで円滑に人間関係が構築できれば仕事はスムーズ、できなければ大変とも言えるでしょう。
さらに大事なのは半径5メートルの関係者を身内として大事にする意識。逃がれられない「絆」と覚悟して接したいもの。「うちの上司は最悪」とか「後輩でダメな奴がいてさ」と発言することは、身内の恥をさらすだけで自分には何も得るものはない、むしろ失うものがたくさんある……ことに気づくべきしょう。
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