日本の里山を「食材の宝庫」に変える32歳の挑戦 シナモン、胡椒…国産「可食植物」で狙う林業再生

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――里山の開拓はどのように行っていますか?

全国にいる山主(やまぬし)さんと「相棒山」というパートナーシップを築いて、サプライチェーンを作っています。日本の森をいい形で残していきたい、活用していきたいと思っている協力者が全国にいる形ですね。

具体的には、北海道、本州、沖縄の、全部で20カ所くらいの山主さんと提携していて、その皆さんに季節のものをいろいろ収穫してもらって。そのままレストランに卸すこともあれば、われわれのブランドの商品に落とし込むこともあります。

――活動の手応えは?

何かしらのインパクトは残せているかなと。経済効果という面だけでなく、”やりがい”や”楽しみ”を作れているかもしれない、と思います。

木材の切り出し(従来の林業)って、それが売った先でどう使われているのかが見えづらく、お客さんの顔や反応もわかりづらい。一方、うちで扱っているのは食材です。このレストランが使っているよ、こういう料理・プロダクトになったよ、みたいなところをご紹介することで、手触り感のある仕事のやり方ができます。

まずは日本の人に知ってほしい

――日本の草木の価値とは?

日本の国土面積の7割は森や自然と言われています。その中から食べられるもの、活用できるものを見つけていけば、山の価値が上がり、ひいては国の価値が上がる。日本の草木ならではの価値ももちろんありますが、まず今そこにある7割の森が「宝の山」なんだよ、と思います。

日本草木研究所が手がけるフォレストジン。8種類の国産植物を使用している

経済的な意味だと、いずれは海外に出していく必要があると思いますが、やっぱりまずは日本の人に知ってほしい。日本にこんな食材があるんだと、山の資源の素晴らしさを知って可能性を感じてほしいです。

自国のものを使ってみようと思う作り手を増やしたいので、私たち自身がプロダクトを作って広めるだけでなく、いろいろなブランド、レストラン、メーカーさんに日本の草木を使ってもらいやすくする取り組みをもっと推進したいです。

――古谷さんにとって、仕事とは?

難しい質問ですね……。最近、自問することも多いです。

(仕事とは)使命感を持ってやり続けられることかな、という気がしているんですが、ただ活動している日々の中で、これって本当に誰かのためになっているの?必要なことなの?という疑問も生じる。それを振り払うように、ガムシャラに動き続けているようなところがあります。

自分の使命を見失わずに、自分がやりきれると思えることがあって、それを達成するために動いていくことが仕事だと思います。それは人生と切り離されたものではなく、むしろ私の場合は人生そのものだなと。

食べるのが好きというのはもちろんあるのですが、自然というテーマがコンテンツに尽きないので、ずっとやっていける、日本という国土を楽しみ尽くせるな、という気がします。

東洋経済の動画シリーズ「ドキュメンタリー 仕事図鑑」では、あらゆる現場の「働く人」に密着し、そのリアルな姿をリポートしています。
企画・制作:桑島圭佑
東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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