こうして山﨑さんは志望を理科1類から文科3類に変更し、横浜国立大学での仮面浪人生活を始めました。
大学に通いながら、予備校に通わずに浪人するという厳しい状況に加えて、文系への転向という不利な要素も重なった受験でしたが、1年生のときに解いたセンター試験の過去問では8割を記録して学力を維持できていたため、手応えを感じていたようです。
現役のときと同様に夏・秋2回の模試を受験した山﨑さんは、夏には東大でE判定だったものの、秋になるとC判定を取れるようになりました。
その一方で、山﨑さんはこう振り返ります。
「当時は朝7時に起きて、9時に大学に行き、18時くらいまで授業を受けていました。受験勉強は夕食を食べてから。『さすがにちょっとは勉強しないとな……』と思って夜に受験勉強をする生活でしたが、平日は1日1時間くらいの勉強にとどまっていましたね。休日は4~5時間やっていましたが、真剣に受験勉強だけに取り組めていないもどかしさがありました」
それでも学力が伸びた要因としては、まったく勉強したことがなかった日本史が、勉強するにつれて、点数が取れるようになったことだったそうです。
2浪目も手ごたえがまったくなかった
こうした生活サイクルを続けた山﨑さんは現役時よりは数字を落としたものの、センター試験で89%を記録し、東大の文科3類に出願しました。
「落ちたら横浜国立大学にそのまま残るだけでしたし、受けるのは東大1本でした。現役のときは、手応えはないものの受かるだろうと漠然と思っていたのですが、2年経ってもやはり手応えはまったくなかったですね。とりあえず、自分の実力を最後まで出し切るということだけを考えて受けていたので、試験中の記憶はありません」
楽観もせず、悲観もせず、置かれた立場で出せる最大限の能力を発揮しようとしたために程よい緊張感を持って臨めた山﨑さん。その甲斐あってか、試験結果も合格最低点から15点上回り、無事2浪で東大の文科3類に合格しました。
「合格したときはびっくりしたというのが本音です。手応えがまったくなかったので、本当に番号が合っているのかな、と不安に思って過去に番号の掲載ミス・書類の送付ミスの事例がないかを1時間くらい調べていました(笑)。夕方に合格通知が届いてやっと安心しました」
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