とはいえ、動いている取り組み・プロジェクトをやめるのは、始めることよりも難しく、またそれなりの労力が必要となります。
やめるためのアクションとしては、活動中のチームの解散と従業員の異動、ステークホルダーへの中止の説明、そしてDXの支援を依頼している外部業者との契約解除まで、いろいろあります。
特にシステム構築を伴う取り組みなどについては、すでに大量の予算を消費してしまっている場合もあるかもしれません。「あと数カ月で完成」という取り組みをやめることは未練が残るかもしれません。
しかし、それも「サンクコスト」と割り切り、「キャッシュの消失を最小化する」という基準で追加の投資をしないことが賢明です。
そして、これは経営のみができる意思決定でもあります。
たしかに「IR的な効果」もあるけれど…
もちろん「守りのDX」を手がける理由は、「ボトムライン(当期純利益)の効果」以外にも、いろいろあるはずです。
「IR的に有効である」「優遇税制の資格が得られる」など、企業によってさまざまでしょう。経済産業省の「DXレポート」で焦燥感をあおられた企業もあるかもしれません。
あるいは、あからさまに言わないまでも、「DXに取り組んでいることを対外的に宣言したい」といった理由も目にします。
このような理由を一概に否定するつもりはありませんが、投資額次第では株主視点においては看過できないものでしょう。
DXへの取り組みやデジタル関係への積極的な投資は、たしかにIT業界系のメディアなどで好意的に取り上げられることもありますが、それが経営にどれほど寄与するのかについては、なんとも言えません。
「DX銘柄」に選定された企業の株価が上昇する傾向にあるといった噂も、寡聞にして知りません。
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