「電動モビリティ」最大手のLime、日本再上陸の勝算 2026年までに日本市場で2万台の展開を計画

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世界32ヵ国で展開する
世界32カ国で展開する(筆者撮影)

しかし、2020年のコロナ禍で大きな打撃を受け、多くの市場から撤退を余儀なくされた。12の重要市場からの撤退や従業員の14%のレイオフを実施し、CEOの交代も行った。この危機を契機に、Limeは戦略を大きく転換。モビリティの自社開発や地域との連携強化を重視する方針へと舵を切った。

この戦略転換が功を奏し、2022年にはグローバルベースで黒字化を達成。2023年には業界トップの座を確固たるものとし、アクティブユーザー数で最も近い競合他社の2倍以上の規模に成長した。2023年の実績では、年間1億5000万回(1秒あたり5回)の利用があり、総収益は6億ドルを超えた。また、1億ドル以上の調整後ユニット収益を達成し、高い収益性も示している。

Limeは現在、カーボンフリーで手頃な価格の交通手段を提供することをミッションとし、気候変動対策の一環として、より効率的で環境にやさしい都市交通の実現を目指している。

乗車実績
2023年は1秒あたり5回の乗車実績を記録したという(筆者撮影)

 Limeの重視するポイント

ウッディ・ハートマン氏、テリー・サイ氏
親会社Neutron Holdings(Lime)のウッディ・ハートマンCOO(左)とLime日本法人のカントリーマネージャー兼アジア太平洋地域統括責任者のテリー・サイ氏(筆者撮影)

ハートマンCOOは、2020年の危機を乗り越えた後のLimeの戦略について、3つの主要ポイントを強調した。

第一に、Limeは独自のハードウェア開発に注力している。競合他社が外部調達に依存する中、自社エンジニアによるインハウス開発を選択。交換可能なバッテリーや、ペダルやシートなど個別部品の交換が可能なモジュール式設計を採用。ユーザー体験の向上と製品寿命の延長を図っている。

次に、Limeは効率的な運営を重視している。ユーザーのフィードバックデータを継続的に収集・分析し、車両設計やサービスの改善に反映。さらに、交換可能なバッテリーシステムの導入により、充電のための車両移動を最小限に抑え、エネルギー効率とコスト効率を向上させている。

最後に、Limeは都市との強固な関係構築を非常に重要視している。単に事業の許可を得るだけでなく、都市のニーズを深く理解し、それに応えることで持続可能な事業展開を目指している。このアプローチは、多くの都市でLimeが選ばれる要因となっており、長期的な事業の安定性につながっている。

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