アベノミクス「2018年賞味期限説」は本当か 中国株安で米国利上げはどうなる
アベノミクスのもともとの目論見から考えても、2~3年で末端の零細企業や一般家計まで含めて、急激に好景気が浸透する設計ではないことも考慮したいところです。企業業績の回復、資産インフレが一般市民のサイフにも反映されるのは最後ですが、今のところそのシナリオは狂っていません。
アベノミクスは、まだ、1本目の矢、金融政策が的中したばかりです。これから東京五輪に向けて2本目の矢、財政出動が本格化するでしょう。
よくも悪くも、日本の政策は米国とは違いゆっくりなのです。そのため、2018年は賞味期限切れどころか、当初予定通りの景気回復の道程に過ぎません。
強い日本経済をなぜかいまひとつ信じ切れない理由
それでも日本経済の回復を本物だと信じられない人が多いのにもうなずける理由があります。日本経済は構造的な問題を抜きにして、前に進めないことを肌で感じているからです。
日本には、多額の国債残高、少子化によるGDP先細り、天下りや業界団体の声の大きさなど、じっくり取り組まなければならない問題がいくつもあるのはご存じのとおりです。
外国人投資家は、株価が下がる前に売り逃げればそれでいいでしょう。しかし、日本人は、根本的な問題を解決したうえでの景気回復がない限り「いつかはまたやられる」という意識が邪魔をして、賃上げや消費拡大に結びついていないのです。
筆者は、構造改革で驚くような変化が見込めないのであれば、日本が1回目の利上げをした時点で下落トレンドに入ると考えています。将来的な日本の利上げは、政府がデフレとの戦いで勝利を収めて「終戦宣言」をしたのと同じことです。そのあとは、強烈な景気刺激策は出なくなります。政府主導で作った景気回復は、政府が抜けることで終わるでしょう。
しかし、日本の利上げのスケジュールは東京五輪よりも後にずれ込むのではないかと考えています。足元を見れば、中国、新興国、欧州ともに経済に活気がない。日本以外の国に投資妙味がなければ消去法的に日本に投資マネーが流れてくるはず、と考えられなくもないですが、現実的には海外市場の弱体化は日本市場にも逆風となるでしょう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら