アベノミクス「2018年賞味期限説」は本当か 中国株安で米国利上げはどうなる
短期的に、利上げが市場の過熱を落ち着かせる効果はあるかもしれません。しかし、利上げは米国経済が無事に不況を脱し、正常な経済環境で再び前に歩み始める第一歩という認識が広まれば、景気回復に裏付けされた「実態を伴う」米株高も視野に入るでしょう。
また、米国の利上げは円安の要因でもあります。米株高と円安は日本の株価にもっとも影響が大きい要素であるため、長い目で見れば米国利上げは、日本株にとって前向きなテーマでもあるはずなのです。
さらに、日本には特有の景気加速要因もあり、今では世界の市場で最も大化けが期待できる市場だといっても過言ではないでしょう。「失われた20年」により溜まった負のエネルギーが解き放たれ、急回復を遂げるシナリオには世界の投資家も注目しているのです。
アベノミクスの賞味期限2018年説は本当か
しかし、多くの個人投資家は「アベノミクス相場の賞味期限はいつ切れる?東京五輪より少し手前の2018年あたりではないか」と口をそろえて弱気な見通しを述べています。
筆者は、このような弱気見通しについては、投資家にもデフレマインドが定着してしまった結果だと見ています。足元を見れば、日本郵政グループや多くの公的基金による日本株買い、企業業績の好転により海外からも流入を続ける投資マネー、東京五輪と円安の相乗効果による訪日外国人の増加など、いくつもの強い下支えがあるのです。
さらに、株式投資家からは見逃されがちですが、不動産市場の回復にも目を向けたいところです。震災以降、上昇を続ける不動産市況は、デフレマインドの定着した日本人には「過熱感」すら感じられるかもしれません。それでも、実際にはシンガポールや香港、台湾に比べれば、まだまだ安く、値上がり余地があるといわれているのです。
それに加えて、今年に入ってからは、不動産に対する銀行の融資姿勢が緩和されたことにも注目しています。融資姿勢の緩和は不動産購入者を増やし、価格上昇に直結するためです。
2013年4月の量的緩和開始から2年経ち、ようやく銀行も「アベノミクスに乗ってきた」といえるでしょう。電光石火の金融市場とは異なり、銀行、不動産のような旧来型の業種では、人々のマインドはすぐに変わりませんでしたが、今ようやくその重い腰を上げたのです。
「近所までは来たが、うちの家計には届いていないアベノミクス」
そう考えるのは時期尚早です。実体経済にも明るい兆しは見えてきています。新卒の就職状況、転職支援企業など求人市場は活況です。アベノミクスの最難関ともいえる給与上昇も現実味を帯びてきているといえるでしょう。
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