透明社員を使え!やる気のない部下を頼れる戦力に変える方法 エイドリアン・ゴスティック/チェスター・エルトン著

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3つのステップを実践できている優秀なリーダーがいないわけではない。

一例として、あるアイスクリームチェーン店の店長のことをあげる。その店で働き始めてまだ日が浅い皿洗い係がいた。他の皿洗い係より仕事が遅かった。あるとき、その皿洗い係が片づけにいつも45分かかっていたものを30分で終わらせた。店長は皿洗い係が帰る際に皿洗い係のした仕事のどこがよかったのかを具体的に伝え、ごほうびとしてアイスクリームを持たせたという。皿洗い係はとびきり喜んだそうだ。

このアイスクリームチェーン店店長の言葉が印象に残る。「店員たちのことを心から気にかけることですね。そして全員を同じように、でも違うやり方で扱うこと。一人ひとりをよく見て、それぞれにとって何がやる気につながるかを見きわめるんです」

通常であれば、他の店員の目を憚って仕事が遅い店員に対し、褒めることをしないことがおおよそだ。そうではなく、店員を褒めたことが店員を認めることに繋がった。きっとこの店員は更に成果をあげることができるだろう。

直属の上司は社員にとって影響力がある。身近な上司にまずみてほしい、認めてもらいたいと感じるのは自然だ。だが、上司が社員に大きな影響を与えているとは当の上司が気付いていないことが多い。

日常で褒められることは少ないが、褒めることをしすぎてもしすぎることはないと著者は提示している。管理職にとって、成功するためのヒントがたくさんある。透明社員を増やさないためのバイブル的存在の1冊。

(フリーライター:荒幡 幸恵 =東洋経済HRオンライン)

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