60歳を過ぎたら「たかが便秘」では済まされない 「大きなウンチ」を「しっかり出す」が腸活の基本

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さらにここからは、腸活は病気の予防という側面からも重要であることをお話ししましょう。

まず、腸が元気になることで、大腸がんのリスクを減らすことができます。2022年の統計で、死亡数が多いがんは、女性の第1位、男性の第2位が大腸がん。罹患者数は、年間約16万人もの数になります。

大腸がんの発症には、生活習慣、特に食生活との関連性が強く指摘されています。日本人の食生活が炭水化物を減らす方向にシフトしてから、急激に患者数が増えたがんの1つです。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によると、炭水化物の摂取量は1955年には1日411グラムありました。それが、2019年には248グラムまで低下しています。1日当たりのエネルギー摂取量も減少、米の摂取量も低下しています。炭水化物の摂取量が減少するのに反比例するように、大腸がんにかかる人が急増しています。

疫学的な研究で、炭水化物(でんぷん)の摂取量が減ると、大腸がんの発症頻度が上がるという報告もあります。

また、炭水化物に含まれる食物繊維は、善玉菌の「エサ」になり、エサを食べた善玉菌は、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの「短鎖脂肪酸」を作り出します。この中の「酪酸」が、大腸がん予防にすごい働きをしていることが近年の研究でわかってきました。

通常の細胞はブドウ糖をエネルギー源としていますが、大腸の細胞は、酪酸を主要なエネルギー源としています。そのため酪酸の量が不足すると、エネルギー不足に陥り、細胞が正常に機能できません。

また酪酸は、がん抑制遺伝子の一種「p53」を活性化することもわかりました。p53遺伝子が活性化すると、がん化した細胞が増殖するのを防いだり、死滅させたりと、がんの発症リスクを下げることができるのです。

つまり、酪酸を増やすことが、大腸がんの予防につながるというわけです。炭水化物を食べ、善玉菌にしっかりエサを与えて腸の中に短鎖脂肪酸を増やしてあげることが、発がん性物質の発生を抑えるのみならず、遺伝子レベルでもがんの増殖を防ぐための効果を発揮するのです。

「潰瘍性大腸炎」「クローン病」などの病気も予防

今、日本では大腸がんをはじめとして、腸の病気に苦しむ人が増えています。潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜に慢性的な炎症を起こして、下痢や腹痛を伴う病気です。難病に指定されていて、日本では約17万人の患者がおり、老若男女関係なく発症するとされています。近年、急速に患者数が増えています。

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