「アメリカ経済」がなんだかんだ好調な根本理由 知られざる「バイデノミクス」の中身と成果

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こうした中、ハリス陣営は現政権が独占企業と闘っているほか、薬価の引き下げを実現しようとしてきたこと、そして、大統領選に勝利すれば、こうした取り組みをさらに促進すると強調している。

こうした実績を残しているにもかかわらず、バイデン・ハリスの経済政策はこれほどまでに評価されないのだろうか。1つには、国民がインフレを好んでおらず、インフレをバイデン政権の責任にしていることが挙げられる。

物価上昇率は低下しているが、物価の合計値は低下しておらず、物価はまだ高すぎるという一般的な認識が、雇用や賃金の成長などほかの成果を圧倒している。ハリス陣営はこうした認識を改めるのに苦慮するかもしれない。

共和党の経済運営への信頼が高いのはなぜ

しかも、この問題は長期的にはさらに深刻になる可能性がある。

2021年のニューヨーク・タイムズ紙の分析によると、1933年以降、民主党大統領の下での経済成長は4.6%であるのに対し、共和党大統領の下では2.4%となっている。しかし、アメリカ人は共和党が経済を運営することに高い信頼を寄せる風潮がある。

これはおそらく、減税や規制緩和など、共和党大統領の政策を支持する傾向のあるビジネスリーダーやその他のエリートが、大衆の経済に関する認識に過剰な影響力を与えたことが背景にあると考えられる。

トランプの場合、多くのアメリカ人は、彼はビジネスで成功したから経済をうまく運営できると考えている。そのどちらも正しくないことを示す証拠があるにもかかわらず、だ。

民主党の大統領候補がバイデンからハリスに交代したことによって、民主党の経済政策に対する懸念は多少後退したが、払拭されてたわけではない。ハリスは勝負の流れを大きく変えることに成功したが、経済政策でもバイデンの流れを汲みながら独自性を打ち出すことができるだろうか。

スティーブン・ヴォーゲル カリフォルニア大学バークレー校教授

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Steven K. Vogel

ボストン出身。プリンストン大学在学中インターンシップで当時の国務大臣、伊藤宗一郎氏の秘書を経験。大学卒業後、ジャパン・タイムズに勤務。その後、カリフォルニア大学バークレー校で修士、博士号を取得。カリフォルニア大学アーバイン校、ハーバード大学などで教えた後、現在は、カリフォルニア大学バークレー校政治学部教授。先進国、主に日本の政治経済が専門。著書に『Japan Remodeled : How Government and Industry Are Reforming Japanese Capitalism』など。

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