九州男児発の「女性大活躍運動」が広がるワケ 約200社を巻き込んだ「自主宣言」の威力

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男女が自身の仕事感をざっくばらんに語らう「ワールドカフェ」も、「女性の大活躍推進福岡県会議」が主催しているイベントの一つ

共同代表は男女一人ずつ。会議の目的は「女性の活躍を推進することで、企業の総合力向上と地域経済の活性化を図るとともに、男女共に働きやすく、生きやすい社会づくりに取り組む」こと。経済団体に事務局を置き、活動がスタートした。

まず活動の中心に据えたのは、企業や団体において、女性管理職の比率や数などの具体的な目標を設定し実現するための「女性活用の自主宣言登録制度」を普及させることだ。女性管理職を増やす前に、まわりの環境を整えるべきという議論もあった。だが、久留さんには「1点集中でシンボリックに進めたほうが効果的。自主宣言してもらうことで、環境は自ずと整っていく」という確信があった。

「この運動にかかわってくれませんか」。県内企業のトップをはじめ、取締役や人事担当者に、地道に自主宣言登録を呼びかけた。「うちの会社には必要ない」と拒否されたり、「うちは宣言しなくてもできてるから」とスルーされることも多かった。

社会が女性を「育ててこなかった」のが問題

会議発足からは2年3カ月が経過。写真は2周年記念式典の様子

だが、1年で制度登録企業100社という目標に対して、1年で119社、スタートから2年3カ月経過した現在は192社(2015年7月末現在)に達した。登録企業・団体は行政からサービス、製造、金融、不動産まで多岐にわたり、組織の規模も様々だ。

このほか、女性管理職の会(WE-Net)を立ち上げ、企業や男性管理職向けのガイドブックを発行、経営者や管理職・人事担当者・子育てしながら働く女性などを対象にしたセミナーも開催している。

様々な立場の男女で働き方について話し合うワールドカフェでは、ある男性会社員から「初めて女性の考え方を知って新鮮だった」という感想が寄せられた。さらに、学生のうちからリアルなキャリアを知ってもらうという狙いから、WE-Netでは行政機関からの要請に合わせ、九州内の大学で女子学生に「働き方」を伝える講座も行っている。

女性管理職を増やそうという機運が高まる一方で、管理職になるのをためらう女性が少なからずいるのも事実だ。久留さんはこう分析する。

「これは女性自身の問題というよりも、これまで社会が女性を育ててこなかったのが大きな要因。女性はすぐ退職するからとはなから期待せず、頑張らなくていいよと変に気を遣い、入社時から男性とは違うキャリアを歩ませてきたのではないでしょうか。

また、女性管理職のロールモデルが身近にいないので、イメージが湧きにくいというのもあるでしょう。女性には出産というライフイベントがある可能性も踏まえて、子育てと仕事を両立できる環境を整えつつ、早くからチャンスを与えてほしい」

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