九州男児発の「女性大活躍運動」が広がるワケ 約200社を巻き込んだ「自主宣言」の威力

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発足から2年3カ月、福岡県会議は国内の先行事例として注目を集め、各地に広がりを見せている。佐賀、長崎、熊本では同様の会が発足し、大分、宮崎でも設立予定。「女性の大活躍推進九州会議(仮称)」もスタートしている。

加えて広島や三重、静岡でも会が立ち上がり、今後も全国に広がる勢いだ。同会議は内閣府の「平成27年度女性のチャレンジ支援賞」を受賞し、久留さんにも企業や自治体から多数の講演依頼が舞い込んでいる。

国をあげた取り組みへ、一歩前進

会議発足から共同代表を務める久留さん

国の動きに目を転じると、8月28日にはかねて審議されてきた「女性の活躍推進法案」が参議院で可決した。その内容は、国・地方公共団体、従業員が301人以上の大企業に対し、女性管理職の割合などの数値目標を設定、その公表を義務づけるというもの。つまり、同会議が声高に訴えてきた「自主宣言」と同じような内容の法案が成立したのだ。

ただし、従業員300人以下の企業は「努力義務」となっており、同会議は今後、努力義務の企業へアプローチしていくつもりだ。並行して、女性管理職の会や啓発活動も継続する。

「女性の大活躍推進福岡県会議」が好事例となった秘訣は、経済界の男性が強力に主導したこと、男女が手を取り合い多様な連携体制で活動を推進したこと、シンボリックな目標を立てたこと、そして、経営層から学生まであらゆる層を巻き込んだこと、という4点にあるのではないだろうか。

「予想以上に運動が盛り上がり、期せずして国をあげた取り組みへとつながったのは幸運でした」と久留さん。全国に広がるこの動きから、今後も目が離せない。

佐々木 恵美 フリーライター・エディター

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ささき えみ / Emi Sasaki

福岡市出身。九州大学教育学部を卒業後、ロンドン・東京・福岡にて、女性誌や新聞、Web、国連や行政機関の報告書などの制作に携わる。特にインタビューが好きで、著名人や経営者をはじめ、様々な人たちを取材。

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