なぜ地方は新しい仕事を生み出せないのか 成功のカギは「IT」と「再生エネルギー」にあり

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ITと共に地方創生のもうひとつのカギとなるのがエネルギーだ。すでに日本全国で、太陽光やバイオマス、地熱、風力などを用いた再生可能エネルギー施設が建設され、稼働している。こうした再生可能エネルギー施設が地方経済にもたらす効果も注目され始めた。

バイオマス発電で「年10億円収入、20年雇用」を実現

レノバは、大規模太陽光発電をはじめとして、全国各地で風力、地熱、バイオマスなど幅広い再生可能エネルギー事業に取り組んでいる。同社の木南陽介代表取締役社長は、「再生エネルギーこそ地域再生そのもの」と断言する。

「たとえば発電施設を建設する際には、その工期中、地元の雇用が発生する。でも、それはあくまでも一時的なものなので、持続的に地元に貢献できる仕組みを考えた。売電収入の一部を地元に還元するのもそのひとつだ。茨城県の『水郷潮来ソーラー』では、太陽のめぐみ基金を創設し、小中学校への寄付による環境教育支援を実施すると共に、道の駅いたこに太陽電池パネルと蓄電池を設置し、防災拠点として活用できるようにした」(木南氏)。

  『水郷潮来ソーラー』では、基金を創設するとともに「道の駅」に太陽電池パネルと蓄電池を設置。防災拠点としても活用できるようになっている

再生可能エネルギーには、太陽光、地熱、バイオマス、風力などが代表的だが、同社は今後、地域特性に応じて、最もふさわしいと思われる形式の発電施設を建設していく方針だ。たとえば熊本県の南阿蘇村では、これから本格的に地熱発電開発に取り組んでいく。

「また、地方経済への貢献でこれから注目されるのがバイオマス発電だ。秋田県バイオマス発電事業では、発電所における直接的な新規雇用として25人。その他、発電に必要な木材のチップ工場や物流等に関わる新規雇用で約100人の雇用創出効果がある。加えて年間10億円の材料購入を今後20年間続けることによって、20年間安定した仕事を地元にもたらすことができる」(木南氏)。

原発事故という禍根を残した日本にとって、再生可能エネルギーの普及は未来に向けての重要なミッションだ。それが地方創生に欠かせない雇用の創出にもつながるだけに、日本おける再生可能エネルギーの広がりが注目される。

鈴木 雅光 JOYnt 代表、金融ジャーナリスト

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すずき・まさみつ / Masamitsu Suzuki

1989年岡三証券入社後、公社債新聞社に転じ、投信業界を中心に取材。2004年独立。出版プロデュースやコンテンツ制作に関わる。著書に『投資信託の不都合な真実』、『「金利」がわかると経済の動きが読めてくる!』等。

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