中学受験は「120%親のエゴ」と、肝に銘じよ 「楽しみ方」を覚えた子に、過干渉になるな

✎ 1〜 ✎ 23 ✎ 24 ✎ 25 ✎ 最新
拡大
縮小

そんな「やらされて始めた」中学受験なのに、いつしか息子さんはそれを楽しめており「爆走モード」なのですから、別に無理に「通常モード」に戻す必要などないんじゃないでしょうか。

小学6年生の自律性なんてたかが知れています。勉強が面白くなければ、何時間もじっと耐えることはできません。今お子さんが「爆走モード」でいられるのは、間違いなく勉強が「楽しい」と感じているからです。

「楽しい」の中には、「あいつよりできる」という優越感もあれば、「世の中の仕組みや原理を知ることが楽しい」という知的好奇心もあるでしょうが、いずれにせよ、楽しければ勉強はいくらでも続きます。

今すべきは「褒めて褒めて褒めまくる」こと!

大人は「この勉強をしないと昇進できないから」といった危機感をもとに勉強するケースがありますが、子どもの場合それはありません。中学受験の合否が将来に及ぼす影響など、考えていませんから。大人と子どもはそこが違うのです。

なので、心配しなくても勉強しすぎて体を壊すなんてことはありません。むしろ注意すべきは、「親が干渉しすぎること」。子ども自身がコントロールできる範囲を狭めてしまい、せっかく高まっているやる気を削いでしまうことこそ、いちばんの懸念材料なのです。

「この間のあのテストの点はどうだったのか」

「一生懸命勉強しなかったら受からないぞ」

「あの子はこんなに勉強しているらしいよ」

連日そんな言葉をかけていらっしゃる親御さんは多いかもしれませんが、小学生はほとんど本能で意思決定していますから、「やりたいことをやる」し、「やりたくないことはなるべくやらない」。親の役目は「やりたくない勉強をやらせる」ことではなく「勉強をやりたくさせる」ことにあるのです。

そして、ご質問者様の場合はすでに息子さんが「勉強やりたい」モードで「爆走」しているわけで、これ以上親がやるべきことなんてないのです。新学期が始まろうがなんだろうが、モードを変えてやろうと奮起する必要はないでしょう。

唯一やって効果があるとすれば、勉強をやりたくさせるよう、褒めて褒めて褒めまくる、励まして励まして励ましまくることです。親が認めてくれれば、勉強はより楽しくなります。承認に承認を重ねてください。結果、私みたいな人格の人間が出来上がりますが、それが嫌でなければ(笑)。

ご質問者様の息子さんがこのまま勉強を楽しみ、来年いい結果を残すことを期待しています。ではよい残暑を!!

鬼頭 政人 資格スクエア創業者、弁護士

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

きとう まさと / Masato Kito

1981年生まれ。開成中学、開成高校を特別優等の成績で卒業後、東京大学文科1類(法学部)に現役で合格。同大学法学部卒業後、慶應義塾大学法科大学院に現役で進学し、同大学院在学中に司法試験に一発合格。司法修習を経て都内の法律事務所に弁護士として勤務。ベンチャー企業を多面的に支援したいと考え投資ファンドに転職した後、22013年12月に資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を創業、その後、ワンストップ電子契約サービス「NINJA SIGN」(後にfreeeサインと名称変更)も創業。著書に『東大合格者が実践している 絶対飽きない勉強法』など。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT