受験勉強が激変?「受験サプリ」の破壊力 リクルートは何を目指しているのか?

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――生徒が使うだけでなく、教育現場で使われているというのは驚きです。やはり進学校が多いのでしょうか。

実は、偏差値帯が45から50くらいの高校でもよく使われています。そうした高校では、生徒の実力分布が広く、生徒一人ひとりの学力にばらつきがあります。また、たとえば、数学は得意で学校の授業についていけるけど、英語は中3からやり直す必要がある……というような例です。

一人ひとりの理解度、習熟度は違う

一方で、学校の先生はカリキュラムにのっとって、授業をしていかなくてはなりません。日本の高校の先生方は世界一忙しいと言われています。実際にお話を聞くと、先生方は生徒一人ひとりに合わせたサポートをする方法に、悩んでいらっしゃいました。その話を先生から聞いたタイミングで、中1から中3までの授業内容「中学総復習コンテンツ」を追加で作成しました。何かの教科でつまずいてしまう子も、放課後に寺子屋のような感じで、もう一度初歩的なことから学べます。

「受験サプリ」のHP

複数の学年向けのコンテンツがあると、各科目とも習熟度別に、自分のペースで学ぶことができます。あるお父さんが電話してきてくださったことがありました。

「うちの子は数学が好きで、高1だけど高3の勉強を先取りしてサプリでやってる」という話もありました。できる子はどんどん先に進めるし、わからないところがあればまた元に戻って勉強ができます。いつでもどこでも、何度でも授業を受けることができる「受験サプリ」だからこそかもしれません。

――受験対策のサービスでスタートし、その後、より広い層をカバーするようになったということですね。3つ目の柱は何でしょうか。

2020年に向けて、文科省の入試制度改革の議論が進む中で、英数国社理のような基礎学力の勉強だけではなく、その勉強をしながらも、新しく「アクティブラーニング」のようなディベート型の授業を通して、自分なりの解を見つける思考力や教養、知識を持って生き抜く力を育成する必要性を感じました。この力を育成するためのサービスが最後の柱です。

――具体的には。

哲学や宗教・社会問題やおカネについてなど、動画を中心としたITインフラと先生のファシリテーションガイドやディベートのフレームワークをきちんとセットで提供します。そうすることで、授業の中で「アクティブラーニング」を実践することができるのでは、と考えたのです。

この構想を元東京都杉並区立和田中学校校長の藤原和博さんに話したところ、協力していただけることになりました。

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