「仕事できても家庭崩壊」するリーダー急増のワケ 「家族」という組織づくりにチャレンジしよう
家族という組織が難しい3つ目の理由は、「正解のものさし」です。
家族のなかでは、いろいろな話し合いや意思決定が行われます。たとえば、皆さんの家庭では、家事の役割分担はどうしていますか? ビジネスで置き換えれば、「この仕事は誰がやるべきか」はとても重要な意思決定です。
ところが、家事の役割分担は、一緒に暮らし始めて、得意な方が担当したりなど、なんとなくで割り振られてしまい、どちらかが家事分担のボリュームに不満を抱えていたり、相手のやった家事に対して、そのクオリティやスピードに文句があったりします。
本来、どちらが担うべきなのか?
この問いには「正解」は存在しません。ビジネスであれば、達成したい売上目標や利益目標があり、誰がどう担当すると目標達成度合いが最大化するか、というものさしで議論していくことができます。
また、ビジネスの組織には「序列」があり、経営者が向かいたい方向や上司に示すビジョンに従って意思決定するという場面もあって然るべきです。
ビジネスでは、組織の「正解」を定め、それに向かって組織をよりよくして行くことが重要です。
ところが、家庭の中で、正解のものさしは存在しません。あるのは「感情」だけです。
それはイヤ。やりたくない。これがやりたい。でもめんどくさいからいいや。
正解がないなかで、意思決定をすることはとても困難です。
家事の役割分担だけでなく、今日の晩御飯をどこで食べるのか、今度の休みはどこに行くのか、お金の使い方で、自分は自己投資にお金を使いたいが相手は美容やファッションにお金を使いたがっている、子供の進学先をどうするのか、親の介護をどうするか……。
家族の問題は、大きなものから小さなものまで、すべて「正解のものさし」は存在せず、やってもやらなくてもどちらも「正解」になりえます。
これら3つの理由から、家族の組織づくりは非常に難しいのです。
家族の問題を「言語化」してみよう
家族の問題は難しい。それは、まぎれもない事実です。組織論で考えても、世の中のあらゆる組織のなかで、最も難しい部類の組織なのです。その難しい組織に対して、
「難しいよね……」
「しょうがないよね……」
「うちの家族は特殊だから……」
と嘆くだけで終わらせてしまってよいのでしょうか。
世の中には、夫婦円満、家庭円満、子育ても大満足、という家庭もたくさんあります。
そういった家庭の話を読んだり見たり聞いたりすると、「そんなわけあるか」と信じられなかったり、うらやましすぎてめまいがしたり、自分の家族でも取り入れてみようと試みて散々な結果になったりなど、反応は様々だと思います。