今どきの日本の若者は「没個性」なのか? 「ミニマリスト」で「ノームコア」!

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博報堂ブランドデザイン若者研究所の原田曜平さんは、流行の背景をこう分析する。

「ノームコアを和訳するなら、中身も外見も着飾らないということ。SNSが普及したことで、過度な自己主張は敵をつくると実感した若者は多いはず。発言だけでなくファッションもまた然り、ということです」

プレーンでエッジィに

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東さんのノームコア・ファッション。気に入った服は色違いで何着も購入する(撮影/編集部・竹下郁子)

見た目には“没個性”でも、それを選択する“哲学”には、かなりのこだわりがある。ノームコア・ファッションを溺愛するウェブメディアディレクター、東典弘さん(30)はこう言う。

「皆が着てるから着るってわけじゃない。そういうのは寒気がします。自分が好きなものを着ていれば、人から何を言われてもいい。それに、プレーンなものを着ると逆に、自分の個性がエッジィに際立つと思うんです」

ノームコア・ファッションのアイコンとも言われるのは、どんな世界的プレゼンの場にも黒いタートルネックとジーンズで現れたスティーブ・ジョブズ。彼の黒タートルのように、自分といえばコレ!というアイテムを探すのが、東さんの目標だ。

ベンチャー企業に勤める男性(27)も同意見。

「派手な服で自分に宿される個性なんて一時的なもの。個性はもともとあるから、ファッションに求める必要はないんです」

慶應義塾大学SFC1年生の頃は、ツモリチサトの赤い水玉シャツなど派手な服装を好んで着ていた。強烈な個性を放つ仲間の中で、自分も負けずに個性を発揮せねばと無理をしていたからだ。その仲間たちが、男性が専念していた研究内容を面白がってくれたことで、自信がつき、シンプルなファッションに戻っていったという。

だが、ノームコア隆盛時代に、一つの不安がよぎる。ファッションがシンプルなほど、着る人のスタイルがものを言うのではないか。183センチの長身に、スラリとした手足を持つ前出の東さん。似合うのはそのスタイルのせいでは……。

「スタイルが重要なのは、どんな服装でも一緒です。僕は偶然、恵まれてますけど」

嫌味!

(編集部・竹下郁子)

※AERA 2015年8月31日号
 

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