世界に広がる「反マクドナルド運動」の実態

従業員たちは何を求めているのか

賃上げも従業員の歓心を買うことに、あまり役立っていないかもしれない。ペンシルベニア州チチェスターのマクドナルドで働く女性によると、賃上げが実施された7月1日からは彼女も同僚たちも勤務時間を大幅に削られたという。8時間シフトなのに毎度のように2~3時間短縮されるというのだ。

解雇を恐れて匿名で取材に応じたこの従業員は、以前ならたいてい2週間単位で計65時間勤務していたが「前回は46時間。今回は43時間だから、週に21~22時間」と言う(彼女の報酬の支払い記録は別の情報源でも確認済み)。

「どんなビジネスでも同じように、従業員の労働時間とシフトは来店客の増減によって変わる」とマクドナルドの広報担当ハイディ・バーカー・サ・シェケムは言う。「この店舗の売り上げ情報を見ると、7月は6月より来店客が少ないので、一部の勤務に影響したかもしれない」。

世界に広がるマクドナルド包囲網

米国内では難攻不落としても、国外における労働運動は、そのほかの戦線でマクドナルド弱体化を目指している。

最近欧州委員会は、2009~2013年にマクドナルドがルクセンブルクの現地法人にロイヤリティをまわすことで10億ユーロ以上の脱税をしたという疑いについて調べ始めた。これは欧米の労組連合と貧困問題活動家らが訴えた件だ。またブラジル国内でも脱税を試みたという疑いについて、ブラジルの労組が国内当局に苦情を申し立てた。

20日のブラジリアでの公聴会で、反マクドナルド運動の側は欧州における反競争的行為の証拠を示すという。労組によればフランチャイズ店は売り上げに対する比率で直営店よりもずっと高い賃料を払わされている。

その一方でバーカー・サ・シェケムは、「指摘されているイギリス、フランス、スペインすべての市場で、実際には直営店のほうがフランチャイズ店より(売り上げに対する比率で)高い賃料を負担している」と反論した。「合法性のみならず、手続きが妥当という点でも当社には自信がある」。

ただしこういう一つひとつの問題点よりも、マクドナルドを無法者の企業市民として描き出す努力全体にこそ価値があるのかもしれない。「一切合切、表沙汰にしてどれがうまく行くか見るというアプローチだ」と、ニューヨーク市立大学大学院センターで労働問題を専門とする社会学者ルース・ミルクマンは言う。

1990年代に南カリフォルニアで移民の建設労働者がアメリカ労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)と大工合同友愛会(UBC)に支援されたときの例をミルクマンは挙げた。「違法な時間外労働に関して膨大な数の文書を集めたあげく、労組加入と引き換えに基本的にそのすべてを取り下げた」。

コートニーも同じような作戦を暗に認めている。「マクドナルドはこのように次から次へと問題を提起され、白日の下にさらされるという道をたどるようでは世間体がよくないだろう」と彼は語った。

「そうではなくて、『わが社は先導する、わが社は基本的なビジネスモデルを転換し、評価を回復する』と言うこともできる」

(執筆: Noam Scheiber記者、翻訳: 石川眞弓)

© 2015 New York Times News Service

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