【産業天気図・損害保険】回復続く中で「2極化」強まる。07年末の巨大チャネル登場を前に波乱も

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市場環境は回復基調が続いている。主力の自動車保険は無事故割引の進行などから保険料単価の下落が続いてきたが、補償充実型新商品の伸びで上昇に転じており、火災保険も企業の設備投資意欲などが下支えしている。
 06年度第1四半期の正味収入保険料は、最大手の東京海上日動火災保険(ミレアホールディングス<8766.東証>傘下)が1.6%増と他社を引き離した。合併に伴う調整が尾を引いて減収傾向が続いていたが、営業体制が整うにつれて業績が上向いてきた。さらに損保ジャパン<8755.東証>と三井住友海上火災保険<8752.東証>が保険金の支払い漏れなどで一部業務停止命令を受け、一部顧客が両社から契約を切り替えたことも東京海上日動の増収につながった模様だ。逆に損保ジャパンと三井住友海上は、支払い体制の整備などコスト負担もかさむ結果、期初計画から一転して減益決算を強いられる可能性が高まっている。
 中堅では、トヨタ自動車<7203.東証>、日本生命<非上場>とそれぞれ連携を深めるあいおい損害保険<8761.東証>とニッセイ同和損害保険<8759.東証>が増収を確保。が、日本興亜損害保険<8754.東証>、富士火災海上保険<8763.東証>、日新火災海上保険<8757.東証>、共栄火災海上保険<非上場/JA共済連傘下>は減収を強いられるなど、「2極化」の様相が強まっている。さらに東京海上日動を中核会社に抱えるミレアホールディングスは9月末に日新火災を完全子会社化。一方、楽天<4755.ジャスダック>、CCC<4756.東証>、SBIホールディングス<8473.東証>、アドバンスクリエイト<8798.大証ヘラクレス>がそれぞれ損保会社の新設に乗り出すなど、競争環境は厳しさを増している。
 07年10月には「郵便局会社」が損保商品の販売に参入、12月には銀行窓販が全面解禁される。これら新たに登場する販売チャネルの活用の巧拙が「2極化」に拍車を掛ける可能性は強まっている。その結果、上位損保を含めた“再編第2幕”が起きるシナリオも、現実味を増しつつある。
【岡本享記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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