日本の株価暴落が、世界一深刻になる理由 世界的な株価の下落はまだ終わっていない

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それは、今回の株式市場の暴落が、中国の金融政策によるものではなく、米国の利上げという金融政策によるものでもなく、純粋に、中国経済の後退を中心とする世界的な新興国の実体経済の低迷が理由だからだ。この暴落は、ある意味静かで怖い。

なぜ静かで怖いかというと、パニックで非合理的に投資家が投げ売っているからではないからだ。金融的理由による売りなら、売りが出尽くせば、それで止まる。また、パニックになればなるほど、すべての膿は吐き出され、冷静に戻った後では、買いが入りやすい展開になる。

要は、気分の乱高下に市場がつきあわされる、あるいは市場が投資家を錯乱させ、それがブーメランのように市場に返ってくるだけだ。ところが、実体経済の停滞という理由で世界的に売られると、回復には実体経済が戻らないといけない。それには時間がかかる。だから、今回の下落は深刻なのである。

日本のバブルが崩壊するのも早い

最後に、なぜ日本の株価がなぜ世界の主要国で一番下がるかを述べよう。それは、日本が一番上がってきたからである。日銀が買う、GPIFが買う、という理由で海外の投資家が買い、GPIFが買うから海外の投資家が買うから、と言う理由で国内の投資家も買い、個人の投資経験の浅い人々も、最後にその流れに乗ってきた。

だから、下がり始めれば、日本だけは、金融的なセンチメントでも下がるのである。しかも、下手に公的に近い組織が買い支えるように見える展開が続くと、落ちたときにそのショックは大きくなる。他人が買うから自分も買う、というのは、まさにバブルであり、崩壊するのも早いからだ。

今後、株価は乱高下と言うよりは、次第にいったん戻したり、また下がったり、という一進一退を繰り返すようになるだろう。そのときに、明示的な、大きなネガティブショックが来たときが、大きく崩壊するときだ。それは日本発ではなく、中国か米国発だろうが、そのときに一番下がるのは日本であろう。

小幡 績 慶應義塾大学大学院教授

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おばた せき / Seki Obata

株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授、2023年教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)。著書に『アフターバブル』(東洋経済新報社)、『GPIF 世界最大の機関投資家』(同)、『すべての経済はバブルに通じる』(光文社新書)、『ネット株の心理学』(MYCOM新書)、『株式投資 最強のサバイバル理論』(共著、洋泉社)などがある。

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