採択相次ぐ!「育鵬社教科書」本当の問題点

「右・左」だけでなく、グローバル視点で課題

新憲法がGHQによる「押し付け」であったか否かという、みなさんも聞いたことがある議論です。育鵬社の記述は、いわゆる押し付け論になっています。帝国書院は、過程はともかく、GHQは、日本のいろいろな機関が作ったものを参考にした、と書いています。

ここで参照したいのは、アメリカ側の会議議事録です。ターニングポイントになった1946年2月13日の議事録に、国立国会図書館のウェブサイトからアクセスすることができます。英語が堪能な方は、ぜひ、原文をあたってみていただきたい。民政局長のホイットニーが日本側にこのようなことを言っています。

「(前略)最高司令官は、日本の人民が、この憲法か、それともこれらの原則を含まずに憲法の体裁を整えた物のいずれかを自由に選ぶようにさせる決意である」

要するに、GHQは、憲法草案を直接、日本国民に見せて信を問う、あなたたちが憲法の体裁を整えただけのものと、GHQ案のどちらがいいか問うてみると、マッカーサーはおっしゃっている、とそういう風に脅したわけです。脅されているのは日本政府の保守的な体制を維持しようとしている人たちである、ということです。

GHQ草案は誰に対する押し付けだったのか?

――民衆が直接選んだら、GHQ草案を取るだろう、と分かっていたからこそ、日本政府関係者は、それを受け入れたのですね。「押し付け」が誰に対してなされたものなのか、よく分かります。

お話をうかがっていて、右・左という価値観の問題をおいても、子どもに「考える力」をつけさせたい親は、育鵬社の教科書を支持しないだろう、と思いました。

そう思います。教育委員会の会議で私が意見を言ったときに「櫻井さんみたいに勉強ができる子ばかりじゃないから」と言われたことがありました。ただ、私自身、公立出身なので、公立は適当でいい、とは思えないのです。安い教育費で質の高い教育を受けられる社会であってほしい、と思います。

そういう意味で、今回、東京都立の中高一貫校で育鵬社の教科書が採択されたのは、残念に思いました。都立の一貫校は、入試にあたる適性検査の問題を見ても、考えさせるものが多く、質が高い。リーダーを育成する役割を担っているはずなので、使う教科書もそれにふさわしいものにしてもらいたいです。

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