参議院は必要か、ねじれで国政の機能不全が常態化、抜本的改革を
第一に、以前と比較して一層のスピードが要求される政治状況にもかかわらず、機敏な政策対応が極めて困難になってきている点。
現在、国内に東日本大震災と原発事故、財政・社会保障制度一体改革などの大問題が存在するのに加え、米国と欧州を震源とする世界規模の経済危機にも直面している。外交では、日米関係の冷却状態が続いているうえ、領土や安全保障で新たな問題が次々と発生している。このような環境下で何より重要なのは、政府の機敏で強力な対応である。
「ねじれ」が常態化するおそれ
第二に、「ねじれ」国会では、衆議院で多数派を占める与党が、法案成立を最優先するため、衆議院で少数派の野党側の主張を丸のみするケースがしばしば起こる。だがこれでは、衆議院選で敗れた側が政策の実質的主導権を握ることになる。また議席第3位の小政党がキャスティングボートを握って議員数を大きく超える影響力を持ちやすくなる。これらは「多数派による支配」という民主主義の原則から見て好ましくない。
また具体的な政策でも、ねじれ国会下では財政によるバラまきなどのポピュリズムがさらに幅を利かせるようになる。しかも、今後無党派層の増加傾向は続く可能性が大きい。そうなると、選挙のたびに大量の無党派層の投票行動が揺れ動く結果、頻繁に勝利政党が入れ替わり、ねじれが常態化する蓋然性が大きい。
では、参議院をどうすべきか。考えるべき要点は、(1)通常の法案や予算審議で参議院は必要か。(2)もし(1)の答えが「不要」なら、ほかに残すべき機能はないか。(3)改革実現の可能性、などだ。