日本政府の為替介入はむなしい結果に終わる--リチャード・カッツ


莫大な利益を得る為替トレーダー

過去にも、日本の政府当局は為替介入を実行し、むなしい結果に終わっている。たとえば、2003年から04年にかけて大実験を試みた。当時も、実質円相場は過去25年間の平均水準で推移していたが、当局は15カ月間に35兆円(03年における円の対ドル為替レートで3200億ドル)を投じた。この額は、当時の経常黒字額の1・7倍に相当する。

それにもかかわらず、実験終了時には、実質円相場は当初とまったく同じ水準に落ち着き、名目円相場は4%上昇する結果となった。そして、多くの為替トレーダーが莫大な利益を手にした。

その手法を説明しよう。仮にトレーダーが円の適正レートを1ドル=76円だとみているとする。そして、介入により円相場が一時的に78円に下落したとする。このとき、トレーダーは1ドルに対し78円を手にする。その後、円が上昇して76円に戻るのを待ち、先に手にした78円を使って1・026ドルを買う。こうして数時間から数日のうちに、2・6%の利益を上げることができるのだ。

日本の財務省が為替介入を続けようとするかぎり、トレーダーたちは同じような取引を繰り返すことができる。財務省はいわば、投機家に利益をもたらすマシンと化してしまったのだ。これが03年から04年にかけて起こったことであり、過去数年間にも同じことが起こっている。

過去10年間、円ドルレートの予測に最も役立った指標の一つが、日米の10年物国債の金利差である。過去4年間に円相場が123円から76円へと上昇した主な理由は、金利差が3%から約1%にまで縮小した点にある。そして金利差が縮小したのは、主に米国のFRB(連邦準備制度理事会)が金利を引き下げたからだ。皮肉なことに、円相場において、日本政府よりもFRBのほうが大きな力を持ったことになる。

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