みそ汁専門店は「おにぎり」に次ぐブームとなるか だしやみそ、具材を選択する「カスタムみそ汁」
小鉢のだし巻きとひじきもおいしかったが、みそ汁だけでもおかずとしてのポテンシャルは十分高い。あっという間に完食してしまった。それにしても、店主の福田さんはいったい何者なのか。そして、どんな経緯でみそ汁専門店をオープンさせたのか。
みそ汁専門店は父親の介護が原点
もともと料理が好きで、大手料理教室で講師として8年間働いていた。ところが、両親の介護をすることになり、教室を辞めてゴルフの練習場で働きながら両親の面倒を見ていたという。
「母は2016年に亡くなり、その4年後に父は寝たきりになりました。介護食を作る中で2人が好んで食べたものがみそ汁だったんです。父を介護していたときはミキサーでペースト状にしていましたが、野菜を下ごしらえをして、かつおや煮干しでしっかりとだしを取ったみそ汁を父はとても喜んでくれました。その頃、友人に『みそ汁専門店をやりたい』と話していました」(福田さん)
2021年に父親が亡くなり、8年の介護生活に終わりを告げた。みそ汁専門店のことはすっかり忘れて日常生活を送っていたが、友人から「みそ汁のお店はやらないの?」と聞かれて、真剣に考えるようになった。それがオープンする1年半程前の話である。
「みそ汁は日本古来のものですし、日本人であれば嫌いな人はいないだろうと思い、やってみようと。みそは味の違いがはっきりと出るものを選びました。手作り味噌は米味噌ベースで塩分を10%以下に抑えた減塩タイプです。ごはんにもこだわり、5つ星のお米マイスターが選んだ愛知県産米のあいちのかおりを使っています」(福田さん)
みそ汁としての完成度の高さもさることながら、味わったときに幼い頃の記憶が蘇ってきたのは筆者自身も驚いた。筆者の両親は生まれも育ちも名古屋なので、豆味噌を使った赤だしがわが家では定番だった。とは言っても、和食店や料亭のような上品なものではなく、サトイモやナス、玉ネギ、大根など何でも入れていた。しかも、朝に作ったみそ汁を温め直して、昼も夜も食卓に並んだ。幼い頃は煮詰まったみそ汁が嫌いだった。
しかし、今思えば、母はだしの素を使わず、頭とはらわたを取り除いた煮干しやかつお節で丁寧にだしを取っていた。味噌もお椀の底に豆の粒が残る良質なものを使っていた。大人となった今、母のみそ汁が恋しくてたまらない。その味の記憶をたどるべく、再びここ「みそ汁や まり福」を訪れようと思う。
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