みそ汁専門店は「おにぎり」に次ぐブームとなるか だしやみそ、具材を選択する「カスタムみそ汁」
まずは実際に店を訪ねてみることにした。カウンター席に座ると、店主の福田真理さんからオーダー表を手渡された。そこには、かつおとにぼしの2種類のだしや郡上味噌と信州味噌、麦味噌、赤味噌、手作り味噌(1日5食限定)の5種類のみそをはじめ、野菜の具材、トッピングをそれぞれ細かくカスタマイズできる「カスタムみそ汁」と、「お任せ」の2種類があった。
みそ汁は地域によって味付けがかなり違うため、だしやみそが選べるのはありがたい。筆者は、かつおだしと郡上味噌をみそ汁のベースにした。野菜の具材は週替りでAとBの2種類を用意。価格はいずれも550円。
「今週は、こまつ菜といんげん、パプリカ、とうもろこし、とうがんの5種類。これがAになります。Bは、みずなとえだまめ、ピーマン、トマト、ズッキーニのこちらも5種類です」と、福田さん。迷った挙げ句、Bを選択。
野菜の具材なし(300円)も可能だ。その際はトッピングであげやわかめ(各50円)やとうふ(100円)などの定番の具材を選択できるほか、厚切りベーコン(150円)やいわしつみれ、鶏つみれ、厚切り豚バラ(各200円)などの変わり種もある。
みそ汁だけでは物足りないと思っていたら、ごはん&小鉢セット(350円)があったので、これも注文することに。ちなみにごはんは単品(150円)でも注文可能だ。
下ごしらえで野菜本来の味を引き出す
野菜の具材B(550円)とごはん&小鉢セット(350円)で合計900円。みそ汁と小鉢、ごはんでこの価格は正直、安くはない。900円あれば、ファストフードなら満腹になるし、ラーメンや他のものも食べることができる……と頭を過ったが、みそ汁専門店の実力を見せてもらおうではないか。
待つこと4、5分でみそ汁とごはん&小鉢セットが目の前に運ばれた。みそ汁は大きなお椀にたっぷりと入っていた。木製のスプーンですくってみると、具材もたっぷりと入っている。筆者がBを選んだのは、みずなはまだしも、えだまめやピーマン、トマト、ズッキーニはわが家では絶対に入れることがないからである。そもそも筆者はみそ汁に2種類以上の具材は入れない主義なので、食べ慣れない具材がたっぷりと入ったみそ汁にとても興味があったのだ。
ということで、まずは具材を食べてみる。あれ?どれも夏野菜ならではの力強くて濃厚な味わいがする。とくにズッキーニはこんなにおいしいものだったのかと驚いた。
「ズッキーニはせいろ蒸しにしたものを使っています。みそ汁と合わせたときに野菜本来の味が楽しめるように、茹でたり、素揚げにしたり、オーブン焼きにしたりと、しっかりと下ごしらえをしています」(福田さん)
家庭で作るみそ汁は、切った野菜を鍋に放り込んで煮込むだけなので、野菜本来の味もなくなってしまう。まぁ、それはそれでおいしいのだが、ここのみそ汁はまったくの別物である。立ち位置がスープではなく、メインなのである。たった1杯のみそ汁を作るのに、ここまで手間ひまをかけるからこそ専門店と名乗ることができるのだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら