過去の経験を今までよりも20%超生かす方法 簡単な方法で有益な教訓を得ることができる

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私自身5年日記をつけてみて、自分について認識できるようになった数々の教訓に、以下のようなものがある。

教訓1 地域での経験はたいてい、予想以上にいい
教訓2 最も生産性が高かったのは、Eメールの来なかった日だ
教訓3 人とのネガティブな体験を忘れがちで、悪意を持続するのが得意ではない
教訓4 カーディオトレーニングをやらなかった日は、眠りにくい
教訓5 苦労したプロジェクトほど、成功したときの見返りが大きい

過去の経験から同じ過ちを繰り返さない

最後にあげた内容は、もう少し詳しく説明する価値があるだろう。

私たちは、過去にどれだけ努力して成功を手に入れたかについて忘れることが多い。その結果、新たな課題が浮上すると過度に難しく考えて、障壁を克服する自分の能力を過小評価してしまう。5年日記は、そのような障害を克服して不安を吹き飛ばし、有意義な結果を残した実績を1日の終わりに思い出すリマインダーの役割を果たす。

また、5年日記は過去の失敗カタログにもなり、同じ過ちを繰り返すことを避けられる。

およそ1年前、私は過去に一緒に仕事をしたときの成果が平均レベルだった人をコンサルタントに雇うことを検討していた。その人に新規プロジェクトの依頼をしようとした直前、たまたま私は2年前の日記を読み返すことがあった。

そこには「○○は信用できない」と書かれていた。私たちはそれ以来一緒に仕事をしていない。あの日記がなかったら、おそらく簡単に避けられたミスを繰り返していただろう。

なぜか? ロン・フリードマン(私)に教訓3の傾向があるためだ。

記憶は、過去の出来事を正確に写したスナップショットではなく、私たちが思うほど持続性の高いものではないことが研究で明らかになっている。記憶は時間とともに薄れていくもので、さまざまな認知バイアスの影響を受けて、その出来事を思い出すたびに少しずつ異なっていく。

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これらの問題点のいずれも日記には当てはまらないため、過去から学んで未来を読む能力を向上させるのに、日記はきわめて優れたツールなのである。5年日記は、自分の時間枠が直近の現在から遠い過去まで広がるので、より思慮深い賢明な決断を下すのに役立つ。

知恵の重要な要素の1つに、ズームアウトして考える能力がある。短期的な利益を超えて、その選択がもたらす予期しない長期的な結果まで考える能力である。自分の過去の経験をしっかり振り返るほうが、視野の開けた好位置に立って賢い選択ができる。

いうまでもなく、日記で日常生活全般を取り上げる必要はない。それよりも、自分が習得に取り組んでいるスキルやライフ・ライティング、新しいアイデアの組み立て、潜在顧客への提案などをテーマにするといい。

要するに5年日記は、自ずと省察的実践を行わせ、過去から拾い集めてきた教訓を蒸留して、将来役に立ちそうな戦略を掘り起こすことになるため、価値があるということだ。

ロン・フリードマン 社会心理学者

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Ron Friedman

社会心理学者。ロチェスター大学、ナザレス大学、ホバー ト・アンド・ウィリアムス・スミス・カレッジの教授を歴任し、政治指導者や 非営利団体、世界的に有名なブランドの多くにコンサルティングを行ってきた 実績を持つ。研究に関する人気記事は、NPRやニューヨーク・タイムズ、ワ シントン・ポスト、ボストン・グローブ、ガーディアンなど有力紙のほか、ハ ーバード・ビジネス・レビュー、サイコロジー・トゥディなどの雑誌でも紹介 されている。専門家がより健康で幸せで生産的に働くために、神経科学や人体 生理学、行動経済学の研究を実践的な戦略に活用する学習開発会社「イグナイ ト80」の創設者でもある。デビュー作『最高の仕事ができる幸せな職場』(日 経BP)は、Inc.誌の年間ベスト・ビジネス書に選出された。  

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