株主還元の新定番「DOE」掲げる会社なぜ増えた? 会社四季報を「総ざらい」して見えたキーワード

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高井宏章(以下、高井):今回、特集の中で取り上げられていたキーワードで面白いと思ったのが「DOE」です。今までの四季報ではあまり登場してこなかったんじゃないですかね?

山本直樹(以下、山本):はい、最近になってすごく増えてきました。

高井:DOEは要するに、ROE(自己資本利益率)の分母に当たる部分(自己資本)で配当総額を割った数字(×100%)ですね。配当についての目標や指標としては、今までは配当性向(配当総額÷純利益)を用いる会社が多かったかと思います。

配当性向は、今期いくら儲かったかが重要になる”フロー”の数字なのに対し、DOEは”ストック”で、あなたたちの会社は資本コストに対してどれだけ株主還元するの?と問う数字です。

四季報に多く登場するようになったということは、目標として掲げる企業が増えたということですね?

山本:そうです。発表ベースのものだけ集めてみても、株主還元を強化しますという表明の中で、もちろん配当性向を引き上げますというものもあるのですが、DOEを基準に設ける会社は非常に増えています。

配当性向を基準にしていると、業績が悪化して赤字になってしまった場合、下手すると無配になる場合もありますが、DOEを掲げている限り、基本的には無配になることがありません。

(※外部配信先では図表などの画像を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

「安定配当」へのイメージが変わってきた

高井:安定配当に近づくということですね。「安定配当」って、今まではどちらかというと、ちょっとイメージが悪かったりしましたよね。儲かってもそうでなくても、一定額を出しますよ、その代わり配当利回りが低いかもしれませんよ、という印象を与える場合がある。

ただ今は、ちゃんと資本規模ベースで安定配当しますよという仕様としてDOEが新たに重視されていると。これってやはり、投資家からのプレッシャーがそれだけ強いということでしょうか。

山本:まさにそういうことだと思います。

高井:(四季報におけるDOEについての表記は)いつくらいから目立つようになりましたか?

山本:ちらちら出始めたのが3年ほど前、ここまで増えたのは前号(2024年3月発売)、今号(同6月発売)くらいからだと思います。

高井:なるほど、面白いですね。キーワードとしてはほかにも、「TSMC/ラピダス」「防衛」「金利上昇」などについて取り上げられています。これを眺めているだけでもトレンドがわかって、ビールを何杯かおいしく飲めるな、と感じました(笑)。

動画では、週刊東洋経済「インフレ時代に勝てる株」特集の内容を基に、「会社四季報、通読するならまずは『夏号』にすべき理由」「識者に学ぶ、インフレ時代における投資の発想転換」などについても解説しています。
※本動画は2024年7月に収録したものです。
制作:鈴木研一郎
山本 直樹 東洋経済 記者

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やまもと なおき / Naoki Yamamoto

『オール投資』、『会社四季報』などを経て、現在は『週刊東洋経済』編集部。

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高井 宏章 経済コラムニスト / YouTuber

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たかい ひろあき / hiroaki takai

1972年生まれ、名古屋出身。1995年、日経新聞入社。マーケット、資産運用などを長く担当。2016年からロンドンに2年駐在し、2020年から退職まで編集委員を務めた。日経在籍時は電子版やYouTubeの「教えて高井さん」の動画解説で親しまれ、キャスターとして「日経ニュースプラス9」にも出演。「高井浩章」名義で出版した『おカネの教室』は10万部超のロングセラーに。Twitter、noteで経済にとどまらず、書評や教育論など幅広い情報を発信している。

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