U-NEXT「サッカープレミアリーグ独占配信」の成算 競争激化のスポーツ領域で勝負、放映権料も高騰

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

外資勢も入り乱れた競争が激化する中、気になるのが投資回収の問題だ。

テレビ中心だったスポーツ中継に動画配信事業者が参入したことで、放映権料は高騰している。ネットフリックスのWWEとの独占配信契約は、現地報道によると10年間で50億ドル(約7400億円)ともされる。U-NEXTは、今回のプレミアリーグとの契約の金額を公表していないが、業界関係者からは「コンテンツの独占配信で莫大な放映権料を回収する難易度は高い」との声が出る。

スポーツコンテンツ専門のDAZNは、Jリーグと2017年から10年間で約2100億円の放映権契約を結んだ。その後新型コロナの拡大により、試合の一時中断を受けた契約見直しを経て、昨年3月には2023年からの11年間で約2395億円の契約を締結している。

一方、サービス開始当初は1890円だった月額料金は段階的に値上げされ、2024年2月から基本プランの月額料金は4200円となっている。「ユーザーの獲得がうまくいかず、値上げを余儀なくされている。ほかのコンテンツを拡充する余力もないのではないか」(業界関係者)。

有料視聴を日本でも習慣化できるか

堤社長は「(放映権料は)過去が安すぎた。会員数の拡大などで収益を上げていける」と意に介さない。「スポーツライセンサーは、パートナーを選ぶ際に、経済合理性だけでなく、IPの価値を理解してユーザーに広げられるポテンシャルがあるかどうかも重視している。われわれは400万人の会員基盤があることが強みになる」(堤社長)。

海外では、より高い月額料金を払ってスポーツを視聴する習慣が定着している。既存会員との接点も生かしながら新規のファン層を掘り起こし、有料サービスでスポーツを視聴する習慣を広げる工夫が求められる。

有料動画配信サービス市場はコロナ禍の巣ごもり需要で急成長したが、足元では伸び率が鈍化し、シェアの奪い合いが激化している。巨大なファン層を抱えるスポーツ分野で魅力的なコンテンツを獲得し、会員増と収益拡大につなげられるか。その勝敗の行方が、市場全体のシェア争いに大きな影響を与えることになりそうだ。

田中 理瑛 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たなか りえ / Rie Tanaka

北海道生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。ゲーム・玩具、コンテンツ、コンサル業界を担当。以前の担当は工作機械・産業用ロボット、医療機器、食品など。趣味は東洋武術。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事