意外と知らない、最新鋭旅客機のすごい技術

ANAとJALを支える機体の強みとは?

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JALがボストン線やヘルシンキ線で運航するボーイング787

ところが最近、そんな“常識”をくつがえす旅客機が世界の空を飛び始めた。先ほど紹介した、ANAが採用するボーイング787と、JALが選定したエアバスA350XWBである。

787の窓は従来機の1.3倍、A350XWBもエアバスのどの機種に比べても窓を大きく設計している。それを可能にしたのが、両機種ともにボディや主翼など機体の全重量の50%以上に採用した炭素繊維複合材だ。ボーイング787は機体全体の50%が、エアバスA350XWBでは52%が炭素繊維複合材でできている。

薄くて軽い新素材、強度は問題ないのか

炭素繊維複合材は、アクリル繊維を約1000度という特殊な条件で焼いて作った直径5ミクロンの炭素繊維の糸を束ね、樹脂とともに重ねたものを焼き固めて製造する。“軽くて強い”特徴を生かし、ゴルフクラブのシャフトや釣りざおなどに利用されてきた。材料サンプルを手に取ってみると、本当に薄くて軽い。こんなヤワそうな素材で機体の強度は大丈夫なの? と不安に思えてくるほどだ。そんな不安を、787の導入に関わったANAの整備エンジニアは一蹴する。

従来機(点線で表示)よりもタテに伸びた787の客室窓

「私たちも最初は不安で、どんな壊れ方をするのか確かめるために、材料を用意してたたいて壊してみようという話になりました。ところが、ハンマーでたたいて壊そうとしても、自分の手が痛くなるばかりで一向に壊れない。それで『強度も大丈夫、これなら心配ない』と全員で納得した経緯があります」

このように軽量かつ高強度の炭素繊維複合材を使用することで、壊れにくい大きな1枚板でボディを構成することが可能になり、継ぎ目を少なくしてキャビンの窓のサイズを拡大することに成功した。

次に航空機に乗る際には、ぜひこれらにも注目されると、より空の旅が楽しめるかもしれない。

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