日本円は、本当に「安全通貨」と言えるか 世界最大級FX会社幹部が見た「円の問題点」

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8月11日から中国は人民元を3日連続で切り下げた。これからもさまざまな通貨ショックが予想されるが、FX会社の中には、いざというときのリスク管理ができていない会社もある(写真:ロイター/アフロ)

なぜ日本ではFX取引が「超人気」なのか

世界中で1日あたり5兆ドルもの取引が行われている外国為替市場。これは米国株式市場における1日の売買高の、なんと約25倍にのぼる。

現在、世界180カ国でサービス展開しているトレーディング会社、ゲイン・キャピタルのアジア太平洋地域統括責任者であるシェーン・ブランシタイン氏は、外国為替取引のマーケットは、今後も拡大していく可能性が高いと見る。

銀行間取引やFXを通じた個人取引に加え、ヘッジファンドなど新しい市場参加者が増えているためだ。また市場も、先進国だけでなく新興国でも順調に拡大している。

同社は1999年に設立され、オンラインによるトレーディングソリューションを提供。インターネットが金融取引に入ってくる過程の中で、FXのトレーディングを中心にして業容を拡大してきたグローバル規模のトレーディング会社だ。現在はFXだけでなく、コモディティやオプション、個別株式、さらには個別株式のデリバティブ取引に対応するとともに、顧客層も個人投資家だけでなく、機関投資家にまで広げている。

ブランシタイン氏は、拡大するFXマーケットの中で、日本の2つの特異性を指摘する。

「ひとつは提供商品の問題です。日本はオンライントレーディングの中でFX取引の割合が極めて大きい。海外では、オンラインで取引できる商品の種類が日本に比べて多いため、FXだけが際立って大きく取引されることがありません。もう一つは低金利政策です。日本は15年ほど前から低金利政策が取られ、金利の低い円を売り、より金利の高い外貨を買うというキャリートレードが頻繁に行われていました。こうした歴史的事情も、他の国に比べて日本でFXが人気化した背景にあると思います」。

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