【産業天気図・家電/AV】年末商戦へ向けヒートアップ。注目はシャープとソニー
AV・家電は最大の需要期である年末商戦に向け、動きが活発だ。その中でも特に薄型テレビは「リビングの顔」として各社とも経営資源を集中しており、激しい戦いが繰り広げられそうだ。
個別企業ではシャープ<6753.東証>とソニー<6758.東証>の動向が気になるところ。8月、シャープの亀山第2工場が稼働を開始した。第8世代と呼ばれる世界最大のガラス基板を使って40型以上の液晶テレビを量産する。シャープは国内では圧倒的なシェアを誇るが、海外ではソニー、韓国サムスン等の後塵を拝している。その原因の一つとなっていたのが大型液晶テレビ投入の遅れだ。これまで主力の亀山第1工場は32、37型の液晶テレビ生産に最も適した工場だった。ところが海外、特に最大の市場である北米は40型以上の大型サイズが需要の中心。シャープは海外でのブランド力の弱さを以前から指摘されているが、北米に食い込みたくとも食い込めなかったという事情もある。第2工場の稼働で、その悩みは解消される。果たしてどこまでシェアを伸ばせるか、競合するプラズマテレビとの戦いとも合わせ、注目が集まる。
一方、ソニーの年末最大の目玉は11月に発売する次世代ゲーム機「プレイステーション(PS)3」。ソニーにとって今回のPS3は単なるゲーム機ではない。次世代DVD「ブルーレイディスク(BD)」の再生機能を持ち、スーパーコンピュータ並みの演算処理能力を誇る超高性能半導体「セル」を搭載するなど、ソニーのエレクトロニクス部門の最先端技術を詰め込んだ“切り札”だ。つまり、PS3の売れ行きはソニーの成長戦略を左右する。
ところが9月に入り、ソニーのゲーム事業を担うソニー・コンピュータエンタテインメントはBDドライブ量産の遅れから、欧州での発売を延期し、年内の出荷台数が当初予定の400万台から200万台へ半減すると発表した。年末には任天堂の「Wii(ウィー)」、米マイクロソフトの「Xbox360」との激突が控える。供給の遅れで商機を逃すリスクがあるなど、依然としてPS3の動向には不透明感が強い。
【中島順一郎記者】
(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部
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