大手証券が軒並み赤字転落で大リストラへ、縮小均衡しか打つ手ない証券界の現実
また、大和も今後1~2年かけて約400億円の販売管理費削減を打ち出した。7月に発表したグループ組織再編による販管費削減を100億円上積みする形だ。
すでにミラノ、ドバイの支店を閉鎖したほか、パリ、フランクフルトの株式営業を近くロンドン、ジュネーブへ集約するなど欧州で200人(21%)を削減。アジアでも香港の自己運用部門を整理・縮小するなどで100人(9%)カットする。国内でもPTSやCFDサービスを廃止することでシステム運用費を削減する。計300人の削減は今下期中に実施するという。
「システムコストの大幅削減は、トップラインへの影響は軽微で、経費削減には大きく効く」と岩本信之COO兼CFOは説明する。ただ、10月に入っても顧客の取引高減少など、「環境の厳しさは変わっていない」(岩本氏)。
今回決めた海外の不採算部門の縮小・撤退を行っても、「今のマーケット環境では採算的にまだ厳しい。状況次第でもう一段のスリム化が必要になるかもしれない」(同)とも言う。
みずほも10月から300人の希望退職を実施するなど、今期中に全体の10%に当たる700人を削減する予定。「下期も慎重姿勢が必要な状況。今の赤字状況をなんとか収支均衡に持ち込みたい」(会社側)という。同社は来期下期中に兄弟会社のみずほインベスターズ証券と合併を控えており、合併後もさらなる合理化推進が課題となっている。
こうしたリストラ旋風の中で唯一、圏外にあるのがSMBC日興だ。市場環境が特に厳しい海外部門、法人部門が相対的に小さいことで結果的に赤字決算を免れている。人員もむしろ増強が続いており、今期も新卒(来春入社)で430人、中途で300人前後を採用。中途採用では、他社の退職者の受け皿ともなっている。今後も選別的ながら、海外・法人部門を中心に積極的な中途採用を続ける意向だ。