大手証券が軒並み赤字転落で大リストラへ、縮小均衡しか打つ手ない証券界の現実
旧リーマン買収後、初の大幅人員削減だけに、現場にどのような影響が出るかを予想するのは難しいが、大きな正念場であることは間違いない。
野村以外でも大和証券グループ本社や三菱UFJ証券ホールディングス、みずほ証券が相次ぎ合理化策を発表している。
■大手証券が打ち出したリストラ計画
【野村】 7月発表の4億ドルに追加で8億ドル、計12億ドルの年間コスト削減を実施。欧州はじめ法人部門の人件費圧縮を中心に、全社レベルのコスト削減で損益分岐点引き下げへ。
【大和】 中期的に400億円の販管費削減。海外不採算部門の縮小・撤退で、今下期中に300人超の人員削減。特に欧州は200人(21%)削減。国内のPTS、CFD撤退等でシステム費用圧縮。
【三菱UFJ】 今年2月(270人応募)に続き10月に希望退職を募集、約1300人が応募(12年1月末に大半が退社)、年間90億円の人件費削減効果。総人員約5000人体制へ(6月末は6655人)。
【みずほ】 10月21日から約300人の希望退職募集、その他の施策と合わせ今期約700人(約10%)削減。今第4四半期の経費を前年比約15%削減。12年度下期中にみずほインベスターズ証券と合併、店舗統廃合、システム統合でスリム化。
主な内容は前記のとおりだが、最も大規模なリストラを実施するのが三菱UFJ証券だ。約270人が応募した今年2月の希望退職に続き、10月にもほぼ全社員を対象に希望退職を実施。想定を上回る約1300人が応募した。割増退職金の処理で10~12月期に約200億円の特損を計上する予定。今期末の総従業員数は約5000人となり、今年6月末と比べ約25%もの減少となる。
「会社に残った人の仕事量は増えるが、顧客へのサービスに影響がないように引き継ぎなどの対応を行っている」(会社側)というが、営業力低下などある程度の業務上の影響は想定しておく必要があろう。