早実・清宮の言葉は、なぜ人の心にささるのか 「スケール感がある」だけでは分析が足りない

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ただ、清宮本人は「僕は思ったことを言っているだけ」とサラリと言ってのける。ならば、数々の発言は単なるリップサービスではなく、本気で考えていることの発露なのだ。そう考えていると、かつて松坂大輔(現ソフトバンク)から聞いた言葉を思い出した。

「常識とか、非常識という言葉は好きではありません。そもそも、常識とは過去の人たちの成功、失敗から積み上げられたもの。新たなものを築くには、常識、非常識という概念すらも持たないことです」。

松坂は横浜高校時代、2年秋から春夏の甲子園大会、国体まで公式戦は1度も負けなかった。1998年夏の甲子園での伝説は今でも語り草だ。準々決勝のPL学園戦で250球の熱投。準決勝の明徳義塾戦では9回、右腕に巻かれたテーピングを破り捨ててマウンドに立ち、逆転サヨナラ勝ちを呼んだ。そして、決勝戦の京都成章戦ではノーヒットノーラン。甲子園が用意した試練をことごとく超えていった。

将来「メジャー1塁手」なら、日本球界は新たな次元に

振り返れば、甲子園が用意した筋書きをスター選手は想像もつかない形で演じ、それが伝説となった。1992年夏。星稜・松井秀喜(元ヤンキース)の5打席連続敬遠。2006年夏、清宮の先輩である早実・斎藤裕樹(現日本ハム)と駒大苫小牧・田中将大(現ヤンキース)の延長再試合の激闘もそうだ。清宮は甲子園が自分にどんな台本を用意してくれるのかということすら、楽しみに待っているようだ。

スーパー高校1年生をネット裏のスカウトはどう見ているのか。メジャーのスカウトは言う。「1塁手はメジャーでも屈指の強打者が入るポジションで競争率は高い。ただ、メジャーの舞台でも1塁の定位置を奪いとる可能性を感じるし、そうなれば日本の歴史は変わる」と言う。

日本野手を獲得する基準は、いまだに「松井秀喜」と「イチロー」である。彼らと比べてどのレベルにあるのか。15年も前から、変わらない「もの差し」に「新たな基準が加わる可能性を感じる」と見ている。

清宮は1回戦の今治西戦は、4打数1安打1打点に終わった。お立ち台に呼ばれると「僕はヒーローじゃない。もっとヒーローらしい活躍をしてここに立ちたい」と話した。悲壮感や使命感といった重さを感じないのも、自然体であるからだろう。

倉橋 憲史 スポーツニッポン記者

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くらはし かずふみ

くらはし かずふみ スポーツニッポン記者

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