ついに到来!電子部品に訪れた「AIブーム」の濃淡 村田は新型投入、日東電工とミネベアは上方修正

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総合材料メーカーの日東電工は、CIS(Circuit Integrated Suspension)という小さな製品を扱う。HDDに内蔵する記録用ディスクと接触して情報の読み書きを担う部品で、世界シェア100%とされる。

円安やこの高収益品の出荷数量が大幅に増えたことを受け、今2025年3月期の営業利益予想を当初見込みから400億円引き上げ、1800億円に修正。HDDの高容量化で搭載ディスク数が増え、1台当たりの使用量が伸びたのも後押しした。

総合部品大手のミネベアミツミも、HDD向け部品の旺盛な需要などを背景に、業績予想を上方修正。今2025年3月期の売上高は期初から600億円増の1兆5600億円、営業利益は同30億円増の1030億円を見込む。

同社はHDD関連で小型ベアリング、スピンドルモーターなど部品4種を供給する。貝沼由久会長は「(上方修正の額は)為替の不安定さもあり第1四半期の上振れ分のみにとどめたが、第2四半期も非常に強い手応えを感じている」と決算説明会で自信を見せた。

今後も投資の活況は続く

AI需要を背景としたデータセンター関連の投資は、しばらく活況が続くとみられる。国内では、シャープが大阪府堺市に所有するテレビ向け液晶パネル工場の跡地で、ソフトバンクやKDDIなどがAIデータセンターに転用する方向で検討が進んでいる。

アメリカのアマゾンも2023〜2027年にかけて、日本に約2.3兆円を投資すると明らかにしている。データセンター建設や運営体制の強化に充てるという。マイクロソフトも4月、日本へのAI関連設備などに今後2年間で約4400億円を投じると公表した。

こうした動きと比例し、関連部品の引き合いはさらに強まりそうだ。先端品を得意とする日本の電子部品メーカー各社にとっては絶好の商機。今後はAI投資のビッグウェーブに乗れるかが、成長の明暗を分けることになりそうだ。

石川 陽一 東洋経済 記者

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いしかわ よういち / Yoichi Ishikawa

1994年生まれ、石川県七尾市出身。2017年に早稲田大スポーツ科学部を卒業後、共同通信へ入社。事件や災害、原爆などを取材した後、2023年8月に東洋経済へ移籍。経済記者の道を歩み始める。著書に「いじめの聖域 キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録」2022年文藝春秋刊=第54回大宅壮一ノンフィクション賞候補、第12回日本ジャーナリスト協会賞。

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