ついに到来!電子部品に訪れた「AIブーム」の濃淡 村田は新型投入、日東電工とミネベアは上方修正
MLCC大手の太陽誘電も、今2025年3月期第1四半期(4~6月)決算の営業利益は26億円(前年同期は約6億円の赤字)と急改善した。牽引したのはAIサーバー関連で、これを含む「情報インフラ・産業機器」用途が全体の売上高に占める割合は20%となっている。同社の福田智光・経営企画本部長は「AI向けデータセンター需要は、今後さらに拡大する」と見通す。
追い風を受けるのは、MLCCだけではない。モーター世界大手のニデックは、AIサーバー向けの水冷モジュール装置が絶好調だ。期初計画では今2025年3月期の部門売上高200億円を見込んでいたが、足元の需要を受けて倍増を見込む。
一方で、活況に乗り遅れた企業もある。セラミック部品大手の京セラは、今2025年3月期第1四半期(4~6月)決算で営業利益210億円(前年同期比18.4%減)に沈んだ。主力のコアコンポーネント事業の落ち込みがその一因で、半導体関連部品は営業利益64億円(同18.1%減)にとどまった。
京セラの谷本秀夫社長は「有機パッケージ製品のGPU向け需要の取り込みが遅れた」と決算説明会で語った。これはエヌビディアに入り込めていない現状を指すとみられる。2番手以下の半導体メーカーでの認証作業を急いでいるものの、同社担当者は「本格的な業績への貢献は来期からになるだろう」と語る。
従来型データセンターも投資増加
好調なのはAI関連のデータセンターにとどまらない。従来型のデータセンターも、前期まで低調だったHDDへの設備投資を増やしている。
HDD用ヘッドとサスペンション大手のTDKは「AIが処理するデータ量の増加に伴い、既存データセンターの保存容量が足りなくなっている。高性能なHDD向け部品の需要が高まった」(担当者)と語る。これらを含む「磁気応用製品」セグメントは前2024年3月期に356億円、前々2023年3月期は564億円と2期連続で巨額の営業損失を計上しており、今期も赤字が残ると見込まれていた。
ところが今期第1四半期(4~6月)決算で、売上高550億円(前年同期比43.9%増)、営業利益8億円へ急浮上。TDKは「まだ需要動向に不透明な部分がある」と慎重だが、この調子が継続すれば通期黒字化も期待できそうだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら