マンション秋の陣! 売れ筋キーワードは「値頃感」 熱気増す首都圏マーケット

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最寄り駅まで自転車で9分と、必ずしも便利な立地ではないが、すでに7割の住戸が契約済み。このうち地元の旭区民は15%で、残りは区外からの集客だ。同社が同じ鶴ヶ峰地区でかつて太陽光なしで分譲した物件の場合、旭区民が半分近くを占めたのと比べると、今回の物件に対する注目度の高さが読み取れる。販売を担当する岩本大志課長は、「太陽光によるランニングコストの低減が、立地条件のマイナスを払拭している」と、好調要因を説明する。

未来志向の物件も登場、ただ市場はまだ混乱期

未来のマンションの“当たり前”を先取りした、という触れ込みで三井不動産レジデンシャルが開発を進めているのが「パークホームズ大倉山」(横浜市港北区)だ。

この物件では、太陽光発電設備やリチウムイオン蓄電池に加え、共用部のMEMS、専有部のHEMSという、二つのEMS(エネルギーマネジメントシステム)を搭載。現状では、共用部のエアコンや専有部の給湯器など、ごく一部の機器を自動制御するだけにとどまっているが、将来的には機能を拡張し、自動的にマンション全体のエネルギー使用を最適化させることを視野に入れている。

9月から予約制の見学会を実施したところ、1カ月で400組超が来場。問い合わせだけだと2000件に達しており、「今年度中にも全戸完売できる見通し」(横浜支店開発室の小松原高志主査)だという。

鶴ヶ峰と大倉山に共通するのは、購入費用にランニングコストを加えたトータルコストの値頃感だ。ただ、新たな設備が付いているために、メンテナンス費用も追加で発生するなど課題も残る。「震災を経て、現在は各社各様に新しい方向感を打ち出している混乱期」(東京カンテイの中山上席主任研究員)。市場がいかなるトレンドを求めているのか、いましばらくの見極めが必要となるだろう。しかし最終的には、災害対応など魅力のある商品企画で、いかに多くの購入客を広域から集めるかが、問われることになりそうだ。

(週刊東洋経済編集部 撮影:今井康一)

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