マンション秋の陣! 売れ筋キーワードは「値頃感」 熱気増す首都圏マーケット
こうした状況を端的に表しているのが、野村不動産が6月から売り出している「プラウドシティ稲毛海岸レジデンス�」の活況だ。
この物件の開発が進められている千葉市美浜区は、浦安市と並んで液状化被害が甚大だったエリア。建設予定地こそ大きな被害は発生しなかったが、周辺の電柱は軒並み傾いた状態。そんな中、モデルルームでの営業活動を開始した。当初は、頭金を支援する親の反対などで購入を断念する20~30代の客も少なくなかった。
ところが、ふたを開けてみれば、第1期として発売した222戸は即日完売。すでに337戸が販売済みで、年内にも全425戸を完売できる見通しだという。
販売好調の最大の要因は、「首都圏の物件としては破格の安さ」(東京カンテイの中山登志朗・上席主任研究員)。坪単価120万円という格安の価格設定に、野村不動産という大手デベロッパーが開発しているという安心感も加わり、想定外の好結果をもたらした。
同様の値頃感志向は、冒頭の湾岸マンションからも読み取れる。「プラウドタワー東雲」の坪単価は240万円。丸の内や大手町といったオフィス街から同程度の距離にある港区麻布かいわいの坪単価(400万円以上)と比べると、湾岸エリアの盛況にも納得がいく。
そのうえ、前述のような各種の震災対策を施していながら、坪単価は周辺の既存物件と同水準だ。湾岸エリアで竣工済みの住友不動産の物件でも、近日中に非常用発電機の稼働時間を従来の4時間から16時間に拡大させる方針だ。こうした観点から、「現在分譲中の湾岸マンションは割安感が強い」(トータルブレインの久光龍彦社長)という。