マンション秋の陣! 売れ筋キーワードは「値頃感」 熱気増す首都圏マーケット
ただ、コンパクトマンションすべてが順調に売れているわけではない。分譲マンションコンサルティング会社のトータルブレインが、昨年から今年にかけて首都圏で売り出されたコンパクトマンション160件の販売担当者にヒアリング調査したところ、3分の1の物件で「売れ行きが厳しい」との回答があった。
そもそも、コンパクトマンションの主な購入層は単身者、特に女性の比率が高い。年収300万~600万円の層が大半を占め、「価格のストライクゾーンは狭い」(トータルブレインの杉原禎之常務)。
ところが、現在分譲中の物件は2006年から08年にかけての不動産ミニバブル期に高値で用地を取得したものが多いため、坪単価は高水準。総額を顧客のストライクゾーンに合わせようにも、コンパクトマンションだから、これ以上面積が絞り込めない。したがって、単価×面積=販売価格は高止まり傾向になる。
加えて、近年は大手デベロッパーが相次いでコンパクト市場に参入。港区六本木や新宿区、文京区の一部などでは需給バランスが崩れつつあるという。景気の不透明感がぬぐえない中、消費者の価格に対する視線は一層シビアになっており、「値決めを少し間違えただけで明暗が分かれる」(野村不動産の岩切部長)のが、現在のマーケット環境なのだ。
それは、コンパクトタイプ以外のすべてのマンションに共通している。裏を返せば、立地や仕様が同程度であれば、割安な物件ほど人気化する傾向が強まったともいえる。トータルブレインがまとめた販売好調要因の分析(下表参照)でも、これまで以上に「値頃感」を重視する、消費者マインドの変化が読み取れる。