色々あったオリンピックで結局「一番得した」会社 あらゆる場面で目立っていたブランドは?

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「非常に控えめだが、同時に目に見える存在となる方法を見つけた」(フランソワ・アルノー氏)。一種のサブリミナル的な広告戦略といえようか。地元でも「非常に巧みなやり方」(パリ郊外に住むフランス人男性)などと受け止められている。

足元の業績は冴えないが…

LVMHの足元の業績は苦戦気味だ。開会式に先駆けて7月23日に発表した2024年1~6月期決算では、416億ユーロと前年同期比1%減少したほか、純利益は前年同期比14%減の72億6700万ユーロと、事前の予想を下回る結果となった。中国の景気停滞に伴う販売減が響いた。日本を除くアジア地域の売上高は前年同期比約10%減となった。

株価も3月から右肩下がりで軟調に推移している。しかし、パリオリンピック・パラリンピックの開催がブランド価値の飛躍的向上につながるとの見方は少なくない。海外のメディアも「パリ五輪の真の勝者はLVMH」(イギリスのザ・タイムズ誌)、「LVMHはすでに金メダルを獲得した」(オーストラリアのシドニー・モーニング・ヘラルド紙)などと伝えている。

大会期間中は警備体制が強化されており、パリ中心部にある店舗の売り上げの落ち込みが避けられそうにない。モンテーニュ通りの本社ビルにあるフラッグシップ店も打撃を受けそうだ。

それでも、費用増は簡単に吸収できると考えているのだろう。昨年のマーケティング・販売関連の支出は307億ユーロあまり。前出のパートナーシップ契約額は、その1%にも満たない金額だ。

ブランドビジネスに乗り出してから40年。フランスではLVMHを世界屈指のラグジュアリー・コングロマリット企業に育てたベルナール・アルノー氏を、18世紀に絶大な権力を誇ったルイ14世になぞらえる向きもあるという。現代の「太陽王」は自国でのオリンピック開催をきっかけに、ブランド帝国のさらなる拡大をもくろむ。

松崎 泰弘 大正大学 教授

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まつざき やすひろ / Yasuhiro Matsuzaki

フリージャーナリスト。1962年、東京生まれ。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)、北海道放送(HBC)を経て2000年、東洋経済新報社へ入社。東洋経済では編集局で金融マーケット、欧州経済(特にフランス)などの取材経験が長く、2013年10月からデジタルメディア局に異動し「会社四季報オンライン」担当。著書に『お金持ち入門』(共著、実業之日本社)。趣味はスポーツ。ラグビーには中学時代から20年にわたって没頭し、大学では体育会ラグビー部に在籍していた。2018年3月に退職し、同年4月より大正大学表現学部教授。

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