結局、米国人は何を「決め手」に大統領を選ぶのか 選挙の相棒を「急進左派的」人物に決めた背景

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しかし、ワルツ氏の知事としての実績を見ると“ばらまき政策”とも評される政策を行ってきています。

また、中間層や不法移民への社会保障を手厚くする一方で所得税引き上げ、公益事業会社に対して2040年までに発電量を100%カーボンフリーにすることを義務付けるなどの急進左派的な政策は、農村部や白人男性の票を獲得する上ではウィークポイントになりえるでしょう。

特に鉄鋼や自動車などの製造業を多く抱え、激戦が予想されるラストベルト(錆びた一帯)の州では、これらの政策だけ見るとかなり不利なわけです。

アメリカのメディアの報道は

この選択はどう出るのでしょうか。アメリカの各メディアの報道を見てみましょう。

ウォールストリートジャーナル8月7日の社説では「ワルツ氏を選択、進歩派の圧力に屈したハリス氏」と報じています。この背景をみていきます。

ハリス氏はワルツ氏起用の理由に「中流階級の家族のために戦うという彼の信念」などを挙げていますが、実際にどのような過程で、何が決め手でワルツ氏を起用したのか、本当のところはわからないわけです。

トランプ陣営にとっては、ワルツ氏が選ばれたことは良い知らせでした。ペンシルベニア州知事のシャピロ氏が選ばれることが最大の脅威だったからです。ペンシルベニア州は今回の戦況におけるスイングステート(共和党・民主党の支持率が拮抗している州)で、この州をどちらの党が取るかが選挙戦の行方を大きく左右するのです。ペンシルベニア州の知事であるシャピロ氏を副大統領候補に据えられると、ここでの共和党の勝利は極めて難しくなっていたでしょう。

なお、トランプ陣営はペンシルベニア州を落としてもまだ勝利する可能性はありますが、ハリス陣営にとっては「絶対に落とせない州」とみられています。

つまり、シャピロ氏を副大統領候補にしたらペンシルベニアは勝利が見えていたわけです。それなのに彼を選ばなかったのは、ユダヤ系のシャピロ氏は親イスラエル的であったため、イスラエル批判を高めている、民主党の中でも特に急進左派の人たちが難色を示したのではないかと推測されています。

ハリス氏自身、ネタニヤフ首相がアメリカに来たときに議会演説を欠席しています。そこから読み取れるように、イスラエルに対して批判的な点も副大統領候補選びに影響していると考えられますが、勝利に必要な選択ができない面で「ハリス氏は党内の左派に逆らうことができない、その気概がない」と見なされて決断力や実行力をネガティブに判断される材料にもなると指摘されているのです。

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