「ダム王国」中国の脅威、半数の4万基が傷んでいる


だが、地方自治体は建設資金に困り、工事はなかなか進まなかった。最も危険なダムは、たいてい貧しい地域にある。本誌記者は江西省、湖北省、安徽省、河南省などを訪ねて、ダムの補修などについて調べた。特に県クラスの地方自治体の場合、なかなか資金を捻出できない事情が見て取れた。

湖北省の場合、随県ではすでに28基のダムを補強し終えたが、残りの267基については、まだ建設資金の手当てができていない。その資金規模は約8億元になるという。

随県の財政収入は、年間で4000万元程度にすぎず、通常、そのほとんどは地方公務員の給料や県民の教育・医療・交通関係に使われる。現時点で残りの267基のダムを補強する資金捻出は、とても無理だと考えられる。

そんな資金不足の中、傷んだ1基のダム補強工事をやり終えても、またすぐに傷み出すケースが頻発するだろう。中央政府は立派な計画を立てているが、地方は資金難に陥り、工事が進まない。3~5年経てばすぐに、新たなダムの脅威がやってきそうな情勢だ。

「これは決して大げさに言っているわけではなく、十分に可能性がある話だ」。専門家たちは異口同音にそう警告している。

(中国『中国経済周刊』8月22日号/郭芳記者、汪孝宗記者 =週刊東洋経済2011年10月29日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

photo:Hugh CC2.0 BY-SA 写真はイメージです。本文とは関係ありません
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