「メガネの子が増えた」のはスマホが原因ではない 「外遊び」と「子どもの視力」の驚くべき関係

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窪田:ただ、過去に一度だけ近視が急増したタイミングがあるのです。それは新型コロナウイルスが流行した2020~2022年頃です。

この時期は外出自粛が求められたので、室内に閉じこもっている時間が必然的に長くなりました。そのことが、子どもの近視を加速させたといわれています。つまり、屋外で過ごさないことが目によくないのです。

「外出自粛」時代の育児スタイルを続けていないか

高濱:確かに、コロナ禍で親子が室内で一緒にずっと過ごさないといけない状況が続き、子どもにスマホやタブレットを渡すことで時間をやり過ごす親が非常に増えました。

窪田:外出自粛が解除されても、なかなかその育児スタイルから抜け出せていないのかもしれませんね。室内という快適な空間で何気なく動画を見せているという状況は、親としては心休まるかもしれませんが、実は子どもにとっては身体的ダメージが大きいことは認識していただきたいですね。

今から45年前にあたる1979年度の文部科学省の調査では視力が1.0未満の小学生は17.9%でした。当時の小学生が今、中年になり、緑内障などの眼科疾患にかかりやすい年代に差し掛かっています。近視有病率が高くなった今の子どもたちが大人になったときの「目」を、眼科医としてとても心配しています。

高濱:いやあ、それは本当に心配ですね。子どもたちと関わる人間として教育の現場から変えられることに取り組んでいきたいですね。

窪田:住居や教育施設など、日本の子どもたちが置かれた環境の中でも実践可能な「近視予防」の取り組みを高濱先生と引き続き考えていけたらと思います。

(構成:石原聖子)

窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

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くぼた りょう / Ryo Kubota

慶應義塾大学医学部卒業。慶應大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている。

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高濱 正伸 花まる学習会代表

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たかはま まさのぶ / Masanobu Takahama

1959年熊本県生まれ。県立熊本高校卒業後、東京大学に入学。1990年同大学院修士課程修了後、1993年に小学校低学年向けの学習教室「花まる学習会」を設立。父母向けに行なっている講演会は毎回、キャンセル待ちが出るほどの盛況ぶり。「情熱大陸」(毎日放送/TBS系)、「カンブリア宮殿」「ソロモン流」(テレビ東京)など、数多くのテレビ番組に紹介されて大反響。「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)、「AERA with Kids」(朝日新聞出版)などの雑誌にも多数登場している。『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』(青春出版社)、『わが子を「メシが食える大人」に育てる』(廣済堂出版)など、著書多数。

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