一流の開発トップは「話を聞く」を徹底する 「Elasticsearch」生みの親の開発哲学

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――そうやって世界中のコントリビューターの意見に耳を傾けるのは疲れませんか?Shayさんはユーザーからの問い合わせにも自ら回答し、かなりのハードワークをしていると聞きます。

疲れていないですよ、まだ(笑)。

家庭において、まだ小さい子供が「お父さん、お父さん」としつこく質問をしてくるのと一緒だと思うんです。

質問してくるということは、新しい知識を得たいと考えているからでしょう。もし重要なアイデアに対して私が答えなかったら、大事なイノベーションが生まれるのを邪魔していることになる。全てに回答するのは自分の責任です。

もちろん、時には疲れることもあります。でも、メールを書いたりミーティングしたりという仕事が多くなってきている中で、コーディングはいまや、私にとっての瞑想のようなものになっているんですよ(笑)。

問われるのはイノベーティブであるかどうか

――多くの人の意見を聞くことがイノベーションにつながるという考えはよく分かります。ですが一方で、ソフトウエアエンジニアは1人でもイノベーションを起こし得る仕事ですし、独創的なアイデアは合議制では生まれないとも言われます。みんなでイノベーションを起こす上で重視していることは?

オープンソースコミュニティでは、何かを変えようと思って誰かが提案したら、そのコードを他の誰かがレビューし、ディスカッションを行います。Elasticはオープンソースがベースの会社なので、その流儀にしたがうということです。

そこでは、1人1人の背景やアプローチの良し悪しは問われません。問われるのはイノベーティブであるかどうかだけです。

例えば1カ月半前にElastic社でハッカソンを行った際、2人のエンジニアが素晴らしいモノを作ったんです。それは私の描く開発ロードマップの中にはなかった発想でした。でも、このアイデアをすぐにも取り上げなかったことは、私の失敗でした。彼らはこのアイデアについて、とても情熱的だったからです。

仕事を楽しくするのは情熱です。そして、情熱を活かすことがイノベーションにつながるのです。

世界中にいるコントリビューターと社員から声を吸い上げて開発に臨むShay氏

――なるほど。では最後に、Shayさん個人のプログラマーとしての最終目標は何ですか?

最後にこうなろうというものはないし、考えたくもないですね。

自分は勉強し続けたいという気持ちが強いんです。世の中はどんどん変わっていきますから、プログラマーは学び続けなくてはならない。究極的なゴールを考え始めたら、その時点で、自分はダメになったということだと思います。

想像してみてください。20年前に大学を卒業した時点で学ぶのを辞めた人が、自分のファミリードクターだったら嫌ですよね? 常に学び続けるのが重要だというのは、そういうことです。

だから、私から一つ皆さんに提案するなら、自分がチーム内で一番頭がいいと感じられるのなら、今すぐそのチームを辞めた方がいいということです。私はまだそこまでいっていないから辞めていないということです。毎日気付きがあるし、学びがあるんですよ。

取材・撮影/伊藤健吾 文/鈴木陸夫(ともに編集部)

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『エンジニアtype』編集部

キャリアデザインセンターが運営するwebマガジン。「どう創る? これから先のシゴト人生」をテーマに、エンジニアの今後の仕事選択・働き方・スキルアップなどに役立つ情報を配信している。

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