綱渡りのLNG調達、相次ぐ原発停止で需要が急増

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長期戦略がなければ綱渡りの調達が続く

電力会社にとって悩ましいのは、原発を再稼働できるのかはっきりしないことだ。LNGの場合、いったん契約すると、その間は契約を破棄することができない。長契での調達量を積み増しに踏み切った後に原発が再稼働となれば、一転して余剰を抱えることになる。こうした事情から、「(原発代替分の調達は)目先3カ月をローリングしながらやっていくしかない。が、年明けでさえ、どの程度の量が必要かもわからないので非常につらい」(関西電力の松村直人燃料部長)。

今以上のLNG輸入量の増加には設備上の限界もある。LNGは専用の受け入れ貯蔵設備が必要だが、「今の日本の既存設備では、最大で(総輸入量)8000万トン半ばまでが限界だ」(大手総合商社)。

LNGを原発再稼働までの短期的な“つなぎ”とするのか、原発に代わるベース電源と位置づけるのかを決めないことには、本格的な長契での調達増に踏み切れない。電源構成が国策である以上、原発の位置づけを含めた長期的なエネルギー政策を国は早期に打ち出す必要がある。

それによって初めて電力各社は設備を整え、LNG調達量を決めることができる。それでも実効が上がるまで10年近くの時間がかかるのだ。

LNGを本命のエネルギー源としていくのか。それが定まらないかぎり、日本はこれからも綱渡りのLNG調達を続けていくことになる。

(倉沢美左、渡辺清治 =週刊東洋経済2011年10月29日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

写真はイメージです。本文とは関係ありません
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