私立大学635法人財務ランキング【本当に強い大学2011年版】--減益が半数、赤字法人4割に、運用難の苦しみさらに深まる
国立大の7割が教職員へ評価給導入
収入が頭打ちであるなら、目が向くのが費用の切り詰めだ。大学の費用は、大きく1教職員の人件費、2教育研究費、3管理経費、に分けられる。たとえば早稲田大学は、10年度から2年連続で管理経費を年間4%ずつ削減。3年目となる12年度も3%削減を目指している。
費用で割合が高いのは1の人件費で、全国平均で帰属収入の6割弱を占める。ここが圧縮できれば、大学のフローの収支は大きく改善する。しかし、「先生方は、学生の答案には評価をつけても、自分たちが評価されるのは絶対に嫌がる」(大手大学幹部)。教員人件費は事実上、「聖域視」されているのが実情だ。
ただ、水面下では教員人件費削減への関心は高まっている。きっかけの一つが、国立大学で導入が進む教職員の評価給導入だ。文部科学省によると、国立大学法人のうち、教職員の人事評価結果を給与などの処遇へ反映している法人は64法人と71%を占める(09年度)。しかし、私立大では「教員評価を実施し、それを何らかの処遇に反映させているところはかなり少数」(日本私立大学連盟)にとどまっている。
退職給与引当金も11年度決算の波乱要因だ。文科省は期末の要支給額に対して11年度決算で100%引き当てをするように通知した。10年度末で50%しか引き当てていない大学も多く、11年度決算で未引当分を一括費用計上すれば、帰属収支差額は大幅に悪化する。学生数約10万、教職員数7850の日本大学の場合、11年3月末の期末要支給額1090億円に対し、既引当分は50%。11年度に540億円もの巨額の引当金を一括計上する。