給食の牛乳からセシウム、説明を怠る明治と町田市
東京都教育庁によれば、明治の神奈川工場で製造された牛乳を学校給食で用いている自治体は都内で7区市(目黒区、世田谷区、三鷹市、調布市、狛江市、八王子市、町田市)に及ぶ。16万人近い子どもが同工場の牛乳を飲んでいるとみられ、衝撃はさらに広がる可能性がある。
横浜でも放射能検出 安全性確保の努力を
町田市が学校給食の放射能検査に二の足を踏む一方で、すでに検査を実施している自治体もある。横浜市は10月11日から小学校給食で牛乳を含む1日分の食材について放射性物質の測定を開始。翌12日に干ししいたけから、350ベクレル/キログラムのセシウムが検出された。横浜市では、「国の暫定規制値(500ベクレル/キログラム)を下回るものの当面、念のために学校給食で干ししいたけの使用を控えることにした」(健康教育課)。
横浜市がこうした動きを起こしたのは伏線があったからだ。福島第一原発事故直後から、小学校児童の保護者が市に対して給食の放射能検査実施や原発周辺地域の農産物の使用中止を求めてきたにもかかわらず、市は消極的な姿勢に終始。その後、8月に放射性物質に汚染されていた稲わらを与えていた可能性のある牛肉を、学校給食で4月19日から7月1日までに延べ16日にもわたって使用していた事実が判明した。食べた小学生の数は8万人以上に上り、市役所には保護者からの抗議が相次いだ。そうした経緯があるだけに、市に対する保護者の視線は依然厳しいが、何もやらないよりましだろう。
パルシステム生活協同組合連合会や生活クラブ生協、会員制宅配企業のらでぃっしゅぼーやなどの機関はすでに放射能測定を自主的に実施、結果も公表している。また、生産者とともに安全性を確保するための取り組みも続けている。国内乳業最大手の明治や町田市に、そうした取り組みができないはずはない。
(岡田広行、張 子渓 撮影:鈴木紳平 =週刊東洋経済2011年10月29日号)
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