米銀幹部に聞く欧州危機、世界経済、新興国ビジネスの動向--マイケル・M・ロバーツ シティバンク最高融資責任者

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 買収の際には資金調達をお手伝いし、買収が成った後はさまざまなコマーシャルバンキング(商業銀行)のお手伝いをしていきたいと考えている。

--中国の急拡大する外貨準備を運用する中国投資公司(CIC)との取引は。

取引は拡大している。CICは中国の実質的なソブリンウエルス(国富)ファンドとして設立されており、中国国外での投資や、海外事業の設立を考えている場合には当社がお手伝いをしている。特に、中国が基本的に必要とする石油、ガスなどの天然資源を近年、積極的に買いに行っている。

--新興国でのビジネスの目標は。

具体的な目標数字はないが、間違いなく新興市場での収益の伸び率が高くなるだろう。もちろん米銀であるため、米国でのビジネスがつねに大きいが、それに次いで大きくなっていくのが新興市場だろう。アジア、中南米、アフリカ・中近東などの事業が当社の成長のカタリスト(触媒)となりつつある。

■米国のQE3はありえない、「ウォール街デモ」は理解できる

--米国の景気とビジネス環境はどうか。

米国経済は明らかに減速している。消費者のマインドが冷え込んでおり、実際の民間消費に影響を与えていくことが懸念される。欧州危機への不安のほかに、失業率が高止まりして一段と悪化するのではとの懸念が人々の不安感をあおっており、内需の状況は決してよくはない。

米国企業の収益は好調だが、米国外の事業の成長のおかげであり、米国内の構造問題は未解決のままだ。

--米国の金融・財政政策にも限界が指摘されている。

FRB(米連邦準備制度理事会)はできる限りの手は尽くしてきたと思う。これ以上は打つ手はない。これから景気を良くしていくには、財政政策に対して米国議会がもっと効果的な対策を打つ必要がある。
 
 しかし、議会は二極化しており、大統領選の年は政治家が実効性のある対策を打ちにくいという傾向があり、あまり期待はできないかもしれない。

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